10月29日、日米軍事一体化を強く打ち出した日米安保協議委員会（２プラス２）中間報告「日米同盟・未来のための変革と再編」に対し、地元自治体から反対の声が続出している。「基地のたらい回し」に怒りを強める沖縄だけではなく、今回の「中間報告」には全国から次つぎと反対が表明されている。政府が中間報告を説明した55自治体すべてが反対だ（11/10　日経）。

原子力空母配備へも反対

　在日米軍司令部・第５空軍司令部がある横田基地（東京都）は、軍民共用化の検討・自衛隊との共同統合運用調整所の新設・航空自衛隊航空総隊司令部の移設（現東京都府中市）が勧告されている。滑走路の南北に位置する昭島市・瑞穂町の首長は、騒音被害・事故被害の懸念から反対の意思を表明。武蔵村山市長は、整理縮小・全面返還を求めた。

　在日陸軍司令部が存在するキャンプ座間（神奈川県）には、米陸軍第１軍団がワシントン州から移転されインド洋以東を管轄する司令部が置かれる。同時に、陸上自衛隊が新設する中央即応集団司令部も置かれる。第１軍団は、出動命令が出れば96時間以内に世界のどこへでも展開する初期投入部隊であり、陸上自衛隊中央即応集団司令部が併設されることで、日米両軍の「緊急展開」の中枢となる。

　このキャンプ座間を抱える相模原市長は、額賀防衛庁長官との会談で「タスキ・ハチマキをして、戦車にひかれたって、相模原のために命をかけてやる」と反対の決意表明。座間市長は「日米の基地機能の一体化だ。基地整理縮小の市是に反する」と反対。また横須賀市長は、現在配備されている通常型空母の退役後に原子力空母が配備されることに対して、強く反対している。

地方議会の意見書続々

　嘉手納基地の米軍Ｆ15戦闘機訓練移転先候補となっている百里基地（茨城県）がある小川町長は「議会、住民とも断固反対」。厚木基地（神奈川県）からの米空母艦載機移転が勧告されている岩国基地（山口県）の周辺自治体である岩国市・由宇町も市長・町長は撤回を求めており、隣接する広島県の５市町で構成される「岩国基地ＮＬＰ（夜間離発着訓練）移転計画反対期成同盟」は、計画撤回を求めた要請書とともに11万人分の署名を外務省・防衛庁に突きつけた。

　議会では、宮崎県の新富町・佐土原町・高鍋町・木城町が臨時議会を開き、航空自衛隊新田原（にゅうたばる）基地の米軍使用に反対する意見書を採択。山口県議会も反対の意見書提出へと動いている。沖縄県名護市議会は11月21日、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸移設案に反対する意見書を採択した。

広がる反対世論

　首長や議会のこれまでにない反応の背景には、地元市民の反対世論の広がりがある。

　普天間基地の移設については、沖縄タイムス・朝日新聞の合同調査で県民の72％が反対、琉球新報・沖縄テレビ放送の合同調査では県民の９割が「不支持」とし、国内県外移設が３割、即時閉鎖・国外移設が６割を占めた。

　市民の運動も活発化している。５千人以上が参加した沖縄県民総決起大会（10/30）に続いて11月13日、座間基地強化に反対する「人間の鎖」行動には３２００人が参加。12月３日には米空母艦載機岩国基地移転に反対し、広島県で「岩国基地の拡張・強化に反対する県西部住民の会」が結成される。

　日本全国を日米共同の出撃基地と化す「中間報告」に、民意ははっきりノーだ。