2005年12月02日発行914号

【基地の島から非武の島・沖縄へ 無防備地域宣言へネットワーク 新基地建設撤回とともに】

 非武の伝統を持ち、悲惨な地上戦を体験した沖縄から無防備運動を−11月20日、那覇市内で「無防備地域宣言沖縄ネットワーク結成の集い」が開かれた。

若い力が運動担う

 開場とともにまたたく間に席が埋まり、若いスタッフは椅子を追加するのにおおわらわとなった。会場からあふれる80人の参加だ。

県全域に運動を

 基調報告はネットワーク準備会事務局の西岡信之さん。竹富町や石垣市での運動と連携しながら準備を積み上げてきた経過を報告し、「(1)石垣、竹富の運動の全面的なバックアップ(2)沖縄県全域に無防備地域宣言運動を宣伝、広げる(3)戦時意識を浸透させる国民保護計画への対案としていく(4)日米軍事一体化、辺野古の新基地建設に反対し、普天間即時返還などの基地撤去運動と結んで取り組む」と方針を提案した。

武力に頼らない沖縄をめざし集まった人々(11月20日・那覇市)
写真:武力に頼らない沖縄をめざし集まった人々(11月20日・那覇市)

 続いて事務局が「基地の島・沖縄から、非武の島・沖縄へ」と題する趣意書、会則案などを提案。参加者から「歴史的に沖縄は中国と友好関係をつちかってきた。日米両政府が中国を敵視して軍事同盟を強化している現在、沖縄の平和思想をもっと盛り込むべき」と意見があがり、文書はさらに練られることに。ネットワークの結成は全員の拍手で確認された。

 ネットワーク呼びかけ人の一人で平和憲法・地方自治問題研究所の山内徳信さんが記念講演。「憲法の主権在民と平和主義に確信を持ち真剣に立ち向かえば解決できないことはない」と自信を示し、「辺野古の新基地を許すと、沖縄は世界中の人々の恐怖の対象になる」と新基地建設を許さない闘いの意義を語った。

日本の進路を変える

 各地で運動を進める人たちからの連帯のあいさつに続き、無防備運動の世界ネットワークを提唱している前田朗東京造形大学教授は「自民党の憲法案は集団的な先制攻撃体制を確立するもの。今こそ憲法9条の精神を生かす無防備運動が必要な時だ」と新憲法反対の闘いの意義を訴えた。

 ネットワーク呼びかけ人の10氏が紹介される。代表して東恩納琢磨さん(じゅごんの里)は「現地と全国の支援の力で辺野古の基地建設は当初案をつぶした。新たな案は世界の世論を味方につけて撤回させる」。同じく糸数慶子さん(参議院議員)は「新基地案に反対を表明した沖縄県知事に、自民党は様々な圧力を加えている。この時期に沖縄で無防備運動を進めることは日本の針路を大きく左右する。運動に若い人たちが加わっているのは大きな希望」。

世代超え共感広がる

 言葉のとおり、会場には若者の姿が目につく。前日に友人から誘われて参加した21歳の大学生は「知らないことばかり。平和運動にはデモとか大声を上げるというイメージがあったのですが、このように一人一人に語りかけていくようなやり方もあるんですね」と共感を語る。キリスト者同士誘い合って参加した女性は「平和憲法を守ろうと行動していますが、若い力に勇気付けられました。生きることを大事にする運動は世代を超えて共感が広がりますね」

世代を超えて広がる運動
写真:世代を超えて広がる運動

 事務局長に西岡さんが就くことが承認され、事務局員が紹介された。

 多くが20代から30代の若者たちだ。平良識子さん(那覇市議)は95年の少女暴行事件の時は高校生。沖縄を何とかしたいと悶々とした日々に、大学で国際法を学んだ。「国際条約の考えからすれば、沖縄の運命は先住してきた沖縄の人が決めることができる。若い私たちが基地に頼らない沖縄の長期的なビジョンをこの運動を通して作っていく必要がある」と熱く語る。

司会を務めた新垣仁美さんは「こんなに人が集まって、もうびっくり」と目をくりくりさせた。「無防備の運動は条例を作ることも大変ですが、普段に地域から平和を作り出す努力が問われていると思います。今の日本政府に押しつぶされてしまうのはいや」。記録を担当した32歳の男性は今年から沖縄に住み始めた。「沖縄で二度と地上戦をさせるわけにはいきません。平和活動の経験はないのですが、この運動は沖縄の中で必ず広がると思います」

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