2005年12月23日発行917号

【教員・市民の共同の取り組み広がる 「石原・都教委の教育破壊ストップ!」掲げ集会】

 教員への処分を繰り返し「日の丸」「君が代」強制の先導役を果たす東京都に対し、教員や市民の共同の取り組みが広がっている。12月10日、都内で「石原・都教委の教育破壊ストップ!」を掲げた集会が開かれた。被処分者や「つくる会」教科書の採択と闘う市民団体など14団体で構成する実行委員会が主催し350人が参加した。


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 卒業式・入学式のたびに大量処分を繰り返してきた都教委は12月1日、「再発防止」研修でのゼッケン着用などを理由に11名への処分をまたも強行した。一方、卒業式が近づく中で教育長は「生徒の多くが起立しないという…同様の事態が発生するのを防ぐため…通達を速やかに出す」と命令連発の方針をあらわにしている。

 こうした事態に対抗して手を結ぼうと教員、市民らが席を埋めた。

 処分を受けた教員、嘱託雇用を閉ざされた被解雇者、処分の違法性を問う「予防訴訟」の原告らが、「わずか数十秒の着席」を根拠に教師や生徒の自由を奪う不当性を訴えた。

広がる教育破壊

 市民らでつくる「学校に自由の風を!ネットワーク」に加わる保護者は「地域の学習会に若い保護者の参加が広がっている。卒業式に合わせ校長や教育委員会に要請書を出していく。指令に従わないと処罰するような世の中に子どもを送り出すわけにはいかない」と決意を語った。

 都の教育破壊は、学校生活のあらゆる場に広がっている。定時制高校を目指す中学生を持つ母親は、競争をあおり、「採算」の取れない学校を切り捨てる統廃合への怒りを語る。「子どもは『どこの高校へ行ったらいいのか』と不安を口にしている。統廃合で不合格者も増えていく。誰もが学べる場を守ってほしい」

 こうした現場からの怒りを受けて慶応大学の金子勝さんが「暴走を食いとめるために」と題して講演。「現代の侵略戦争は特殊部隊が中心になって進める。戦前のファシズムとは違い、『自由』『民主主義』を語りながら、マイノリティーやニートといった分断を社会に持ち込んでいる。『教え子を戦場に送るな』では闘えない」と新自由主義の戦争の特徴を指摘した。そして、「石原の『日の丸』強制や中国人らへの差別発言は、国際的に見ればレイシズムとして非難の対象だ。われわれこそが社会的な進歩的勢力。小さな違いは乗り越えて大きな路線を作り進んでほしい」と激励した。

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