2006年12月22日発行966号

【「みんなで決めるべき」  米原子力空母配備を問う住民投票へ 横須賀市民が署名達成】

「今日が最後のチャンス」と訴える(12月10・横須賀)
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 神奈川県横須賀市で取り組まれていた米原子力空母配備の是非を問う住民投票条例制定の直接請求署名が12月10日に終了した。法定数7112筆をはるかに超え3万筆に迫った。


 署名最終日の横須賀中央駅前。寒空の中、約30人が集まって最後の呼びかけを行った。署名運動の中心を担う原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会共同代表の呉東正彦さんは「この町の『明日』を決めるのは私たち。今日が最後のチャンスです」と訴える。周囲ではギターと歌で署名行動を盛り上げる。

 政府は、署名活動が始まると同時に「政府は米海軍の原子力艦の安全性を確信しています。外務大臣 麻生太郎」といったパンフレットを大量に作成。市役所の情報コーナーや市内の行政センターに置いて住民投票への動きをけん制した。

 しかし受任者は2140人を数え、横須賀出身の俳優・窪塚洋介さんも会事務所を訪ねて「がんばってください」と激励するなど、運動は日を追うごとに広がった。

若い母親も署名

横須賀中央駅前で最後の呼びかけ
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 横須賀で生まれ育ち、現在は孫も市内に住んでいるという女性(56歳)は毎週駅頭に立った。「孫も生まれて、将来の安全問題を切実に考えるようになって署名活動に参加した。中年の女性の反響がすごくよかった。若い母親が、小さな子どもに『大切なことなんだよ』と話しかけながら署名していたのがうれしかった」。空母配備を容認した市長への怒りは強い。「『汚染は基地から出さない』と公言したが、原子力事故にどうしてそんなことが言えるのか。市民を馬鹿にするなといいたい」

 追浜駅前で毎週取り組んできたという男性(63歳)は市内に住んで30年になる。「どんどん基地が強化され、不安になってきた。女性の方の署名が多い。選挙権のない中高生からもよく声をかけられた。基地はしょうがないという人でも原子力の話になれば、ほとんどの人がやってくれた」と関心の高まりを語る。

 終了間際に署名した女性(34歳)は民間企業で働く。今日が最終日だというので足を止めた。「若い頃、公園で米兵に襲われそうになった。父からも犯罪の多い駅の裏側には行くなと言われて育ってきた。基地撤去は無理だと思うが、少しでも縮小してほしい。原子力空母の問題はお役所の人だけでなくみんなで決めるべきだと思う」

広がり感じた

 呉東さんは1か月を振り返って「署名は街頭よりも、受任者を中心に各地域で伸びている。地域を回ると『もう済ませた』とか、励ましの声が返ってきて広がりを感じた。特に女性の協力がすごい。もともと保守的な地域だが、この運動で熱く元気になってきた。これだけの人が動いたのだから、今後もいろいろな形でつながっていくと思う」と語った。

 会は12月15日に署名を市選管に提出する。本請求は来年1月の中旬。議会にかけられるのは2月初旬の予定だ。

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