2020年01月31日 1610号

【みるよむ(542) 2020年1月18日配信 イラク平和テレビ局in Japan ディカール州の市民虐殺に抗議する デモは民衆の意思だ】

 2019年11月28日、イラク南部ディカール州ナシリヤで、失業と貧困、汚職に反対する市民の平和的なデモに対して治安部隊が実弾射撃し、死者40人、負傷者200人が出たといわれる。サナテレビは、この虐殺事件についてバグダッド市民にインタビューした。

デモの弾圧は不正義

 最初に登場する男性は「デモは民衆の意思なのです。さらに市民に犠牲を払わせようとしても、もっともっと立ち上がらなければならない」ときっぱり言う。

 口元をスカーフでおおいながらデモに参加した女性は、あふれるように自らの思いを語る。「平和的な市民デモを武力で弾圧することは不正義であり、これ以上耐えられない」と訴える。

 背景に進行する貧困と生活破壊への怒りがある。「大学の卒業資格を持っているのに路上のお茶売りしか仕事がない。夫を亡くした女性や4人の子どもを持つ女性が歩道で物乞いをしている」など、市民生活の困窮には驚かされる。

 別のデモ参加者は、市民の生活を破壊し、デモ隊に発砲する政府を許さない。「アブドルマハディ首相の足下からじゅうたんを引き抜くみたいに、政権を転覆してやる」と激しい憤りをぶつける。

市民の闘いは続く

 イラク市民の闘いは続いている。このインタビューが行われた頃、市民デモが広がる中で、アブドルマハディ首相に続いてサーレフ大統領も辞任を示唆せざるを得なくなった。

 市民は、米軍がイラン軍司令官をバグダッド空港で殺害した事件を契機に米軍撤退を要求している。また、イラクの支配権を争い米軍と同じように市民を殺し続けるイランに反対する声も上げている。

 自由と人権を守るイラク市民の闘いに日本から連帯しなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS