2020年02月14日 1612号

【フランス マクロン年金改悪に”ノン” 史上最長のストで反撃】

 新自由主義のもと、世界中で年金法改悪による負担増と給付減、定年の引き上げ、廃止が進んでいる。労働の結晶である年金資金をグローバル資本が利益の源泉にしようと狙うが、各国で労働者・市民が反撃に立ちあがっている。

 フランスで1月24日、マクロン政権が進める年金改悪に反対するストやデモが行われ、130万人が参加。7つの全国労組や、青年組織、教員、法曹関係者、公務員団体などが結集した。昨年12月5日から続いてきたストライキは、史上最長となっている。

 労働総同盟(CGT)のマルティネス書記長は「不正な改革に対しては、立ち上がるあらゆる理由がある」、労働者の力(FO)のベリエ書記長は「われわれの決意は揺るがない。何週間、何か月でも抗議していく」と述べている。

 各種世論調査では、1月初めに44%だったストライキへの支持が51%に増加。6割が、マクロン政権は年金改悪を撤回すべきだとしている。

「みんな一緒に」で連帯

 マクロンの新自由主義的年金改悪は、労働者の闘いで積み上げられてきた42の年金制度を一本化し、働いた期間にためたポイントに応じて支給額を算出するポイント制導入というもの。

 現行の、公務員は最後の6か月の給与、民間では最良の25年間の給与をベースに年金額を算定するやり方が廃止される。また、パリ・オペラ座バレーダンサーのストが注目を集めたが、様々な厳しい労働内容に応じて年金支給開始年齢を早めている制度もほぼ廃止。一律全就労期間のポイント計算となり、実際は公務員をはじめ、多くの就労者にとって支給削減だ。

 「自分だけ良くなればいい」と言うマクロン政権に、「みんな一緒に」と呼ばれる連帯扶助の哲学を労働者・市民が対置する構図だ。

 また、現行の62歳退職の権利は残るが、満額受給資格を64歳に引き上げることで、それより前なら割引、後なら割増となり、長く働かなければ減額となる。しかも、「64歳」は平均寿命に応じて変化していく。満額支給64歳には全労組が反対し、撤回を求めている。

 スペインでも定年延長、年金支給開始年齢の引き上げ、解雇の金銭解決制度とセットになった定年廃止などに反対する闘いが取り組まれている。

 フランスの労働者・市民の闘いに続き、年金改悪反対の声を上げよう。



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