2020年03月27日 1618号

【2020年3月14日配信/市民蜂起に加わるイラクの女性】

 2019年10月にイラクの市民蜂起は始まった。失業と社会福祉切り捨て、汚職まみれの政府に抗議する闘いは今も続いている。サナテレビは20年1月、デモの中心を担う女性活動家に、この闘いの中で女性がどんな役割を果たしているかインタビューした。

 ある活動家は、部族支配が強い地域や宗派の聖地とされる都市で根強く残る男性支配の風潮を打ち破る女性たちの姿を伝えてくれる。「女性は奪われた権利を取り戻すために抗議行動に参加してきました」

 マスメディアは社会的な活動に参加する女性に対して冷淡だ。そもそも取り上げないか、デモ参加者のために食事を作ったといった副次的な役割しか伝えない。しかしデモの現場では、女性もまたそれぞれの才能を生かし、重要な役割を果たしている。こうした女性の活動はイラクにとどまることなく、レバノン、シリア、イエメンなど中東全域に広がっていると語る。

厳しい弾圧に屈せず

 別の女性活動家は、立ち上がった女性に対する攻撃の厳しさも指摘する。「女性は発煙弾を打ち込まれたり、実弾で銃撃される」。宗派の私兵や機動隊がありとあらゆる弾圧を加え女性の尊厳を踏みにじろうとしてきた。しかし活動家は宗派の私兵に向けて宣言する。「お前たちがどんな仕打ちをしても、女性は現場に残る。役割も能力も尊厳も変わることはない」と。このような強固な意志が、女性差別の構造を変革する闘いの原動力なのだ。

 イラクをはじめ中東各地で女性たちは、市民の権利を取り戻すために市民蜂起に参加している。トランプ政権や安倍政権が対イランの軍事緊張をあおる行為は、こうした市民の闘いを抑圧することにつながっている。中東からの自衛隊撤退を要求する闘いで、日本からイラク市民に連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局inJapann代表・森文洋)

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