2021年07月02日 1680号

【さかいみほのじゃらんじゃらんinインドネシアU ジャカルタ編(2) 多様性とは】

 皆さまごきげんいかがでしょうか。今年の西日本の梅雨入りは結構早かったですが、近年、日本の雨の降り方(ゲリラ豪雨など)や洪水の頻度が、熱帯地域のそれに似てきたなと思う日々です。

 今回からジャカルタ(ひいてはインドネシア)の多様性について少し見ていきましょう。インドネシア建国の際の国是に「多様性の中の統一」と掲げられたほど、多民族・多文化・多言語なのがインドネシア社会です。その中でも、ジャカルタは飛び抜けて多様性あふれる、全国・全世界から人が集まるメトロポリタンといえます。

 パンチャシラ≠ニ呼ばれる建国五原則の中の「唯一神の信仰(政府によって認められているのは、人口の85%以上を占めるイスラム教、キリスト教プロテスタント、キリスト教カトリック、ヒンズー教、仏教、儒教の計6つ)」という点から見れば、「インドネシア人たる者、信仰あれ」ということでしょうか。住民身分証(KTP)にも当然のように宗教欄が設けられ、日々、多様な宗教活動が行われています。

 インドネシアの社会を理解する上で、「民族・宗教・人種・階層」というフレーズがよく使われますが、この4点は、私の肌感覚で言えば、踏み込むととても厄介なタブー≠ナす。特に、政治的な文脈で取り上げられる際は、一線を越えると容赦ない批判や攻撃を受けます。

 例えば、まだ記憶に新しいのは、2017年のジャカルタ州知事選で、華人系プロテスタントの現職知事が演説においてイスラム教徒やコーランを侮辱したととられる発言が大きな社会問題となり、同候補は結局落選、のちに裁判で有罪判決となった事案ですね。

 次回では、多様性を形成する人びとについて掘り下げて見ていきます。

(筆者は2020年までインドネシア在住)

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