2021年07月02日 1680号

【在日コリアンから見た被爆地広島 加害の視点で歴史認識学ぶ】

 ZENKO広島は6月19日、市内で「Zoom講演会『在日コリアンから見た被爆地広島』」を開催し約70人の参加で成功。コロナ禍で延期となった第3回「東アジアの平和のためのZENKO参加団in広島」に代えて開催したものです。

 私たちは、東アジアの平和を市民の国際連帯の力で切り開くことをめざし、基本的な歴史認識を身につけることが必要だと加害の視点から広島を見つめなおす取り組みを続けてきました。今回は、韓国生まれの移住労働者、李昇勲(イスンフン)さんに講演していただきました。

 李さんは「広島は平和の出発点ではあっても、終着点になってはならない」と話し始めます。「核兵器廃絶のために広島がそのシンボルとしての役割を果たすことは当然だが、広島は唯一の戦争被爆国でもないし、原爆は自然現象のように空から降ってきたものでもない。戦争の一つの結果として投下された。原爆投下から戦争を消し去り、植民地支配の歴史さえ記憶から消し去れば、広島は忘却の都市になってしまう」と警鐘を鳴らしました。

 資料館の展示の中から、8月6日以前の街並みや子どもたちの様子が描かれたものを何点か紹介され、「平和でにぎわっていた」街との説明書きを批判。軍官民一体となった建物疎開や戦争準備が日常となった学校生活。そのような軍事化された日常生活の一つの帰結が原爆であったという李さんの話は、今急速に進む戦争準備に反対の声を上げることこそ広島の使命ではないのか、ということを参加者に深く考えさせるものでした。参加者からは「『民主主義、平和とは何か』という大きなテーマをじっくりと考えることができた」など多くの感想が寄せられています。

(ZENKO広島・日南田成志)

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