2021年07月09日 1681号

【MDS18の政策とは/第4回 戦後補償 世界は植民地主義の克服へ 「過去清算」と植民地主義の克服(3)】

 1945年、2度の世界大戦の反省から、戦争抑止のための国際機関として国際連合が設立された。以降、世界人権宣言(48年)、国際人権規約(66年)と国際人権法が確立され、人権の擁護と人権概念の拡張は大きな流れとなっている。

 植民地問題についても、国連総会は「植民地と人民に独立を付与する宣言」(60年)、「人種差別撤廃宣言」(63年)、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(65年)を採択。93年には「第3次人種主義および人種差別と闘う10年」を宣言した。

 2001年9月には、南アフリカ・ダーバンで「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」が開催され、「宣言と行動計画」(ダーバン宣言)を決定。07年には「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択された。

被害救済・補償を定める

 ダーバン宣言は、植民地主義が「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容」をもたらしたとし、被害はいまなお続いていると認め、「植民地主義がおきたところは、どこであれ、いつであれ、非難され、その再発は防止されなければならない」とした。植民地主義がもたらす「人権の重大な侵害」に対して「国家、地域、国際レベルの効果的な救済、回復、是正、補償その他の措置」を行うため「国家レベル、地域レベルおよび国際的レベルの市民社会の完全な関与の下にすべての国家」が責任をもって国内活動、国際活動を推進することを求めた。

 1910年から36年に及ぶ朝鮮に対する日本の植民地支配と、太平洋戦争の下での朝鮮人、中国人、連合国捕虜を含めた強制連行・動員などの歴史は、このような国際条約やダーバン宣言が掲げた人権尊重、植民地主義克服をめざす国際人権法の観点から見なければならない。

 グローバル化する社会の中で、格差と差別を拡大する「差別排外主義」。その根底にある植民地主義をのさばらせてはならない。

 過去の植民地支配による被害への政府の公式の謝罪と補償が必要であり、現在につながる植民地主義を克服しなければならない。その焦点は、戦後補償問題の解決であり、現在も続く民族学校差別の解消だ。

 近年大きく進展した強制動員問題から見ていく。

       《続く》

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