2021年07月16日 1682号

【議会を変える 京都府向日(むこう)市議 杉谷伸夫 必要な支援給付を届けるには】

 6月には、多くの市町村で定例議会が開かれている。

 私は1年前から毎議会、新型コロナ感染症対策として向日市が行っている施策の実施状況をまとめたものを提出するよう求めている。新型コロナ対策事業予算が、果たして有効に使われているのか、また必要な支援が市民にしっかり届いているのかを検証するためだ。そのため必要な資料を提出してもらう。これは議会の調査権だ。新型コロナ対策に限らず、市民にとって必要で重要な資料は、議員を動かして行政に調査し、提出させることができる。

 提出された報告の中で気になったことがあった。低所得 のひとり親世帯への子育て世帯生活支援特別給付金だ。これは低所得の子育て世帯に対し、児童1人につき5万円を給付する事業のうち先行して実施されたひとり親世帯向けのもので、全額を国が出す。児童扶養手当を受給している世帯は、手続き不要で自治体から自動的に給付される。それ以外にも所得が急減した等の条件の世帯も給付対象だが、申請しなければならない。

 さて申請・給付の実績報告を見ると、手続き不要で給付される世帯に対しては、ほぼ予算額に近い給付がされていたが、申請が必要な世帯について見ると、予算では200人分以上を確保しているのに申請はわずか9件、給付決定は何と0件である。いったいどうなっているのか。

 委員会審議で私は「余りに少なすぎる。給付を受けることができる方に、ちゃんと情報が届いていないのではないか。どのようにして周知しているのか」と確認すると、ホームページと広報で行っているとの答弁。いつもこれだ。ホームページのお知らせを頻繁にチェックしたり、広報をくまなく読んでいる市民がどれだけいるだろう? これでは必要な人に情報が届かない。

 子ども1人当たり5万円の給付は、とても貴重だ。何とかできないか。子育て世帯なら、保育所・幼稚園や小中学校などを通して支援策を周知できるじゃないか。そう考えて要求し、実施に向け検討するとの答弁を得た。

 こうしたことは、実はよくある。せっかく良い制度を作っても、必要な市民に伝わらなければ意味が無い。行政職員は、制度設計には労力を注ぐが、市民にいかに伝えるかについては、熱意や工夫が足りないと感じる。その点は、我々議員が働くべき分野なのかなと思う。 
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