2021年07月23日 1683号

【1683号主張 緊急事態宣言とオリンピック強行 五輪中止 コロナ対策が先だ】

命・生活守らぬ菅政権

 全国で新型コロナ感染が再拡大している。東京では7月14日、1149人の新規陽性者が確認された。

 菅政権は7月12日から8月22日まで東京に4度目の緊急事態宣言を発出した。五輪強行の一方、酒・飲食を悪者に「休業・時短」を強要し人権制限するだけの緊急事態宣言。従わない店には金融機関の融資停止という西村経済再生相の脅しは世論の大反発を招き、撤回を迫られた。特措法にすらない違法行為をくわだて、責任を市民や業者に転嫁する。命も生活も顧みず犠牲を強いる菅政権への批判は、さらに広がっている。

 今、最も必要なのは、「宣言」などではなく、PCR検査の拡大と感染者の保護のための医療体制の抜本的な拡充だ。国内の1日あたりのPCR検査能力は約21万6千回。しかし、直近の検査数はその3分の1から4分の1程度だ。PCR検査を増やし、隔離・保護・治療を迅速に行う体制を作ることによって、感染封じ込めが可能となる。同時に、協力金をはじめ持続化給付金、家賃支援給付金、必要な個人支援を受けることができるよう十分な事業・生活補償への財政支出こそまず必要だ。

五輪は中止しかない

 東京の感染者数が1日2千にもとの試算もある中、7月23日からオリンピックが開催されようとしている。中止・延期の民意や知見を無視し、菅政権、組織委員会、国際五輪委員会(IOC)はあくまで強行を図る。

 東京五輪には、IOCが得る巨額の放映権料、東京の再開発計画など利権と腐敗が渦巻く。五輪ファミリーを先頭に、検疫から隔離、宿泊、移動まででたらめな特別扱いと差別がまかり通る。感染力の強いデルタ株まん延の中、すでに海外選手・関係者から陽性者が続出し、6万人以上の来日で感染爆発の見本市となりかねない。ひとにぎりの人びとの利益と菅の延命のために、内外の市民の命を脅かすことなど許されない。「無観客」でもだめだ。五輪は中止する以外になく、コロナ対策を優先すべきだ。

ZENKOin大阪へ

 市民は諦めていない。五輪中止を求める再度のオンライン署名も13万筆に上り、全国で署名運動や行動が続く。7月16日広島を訪れるバッハ会長を五輪中止のデモが包囲する。重要なのは、地域から市民が声を上げ続け運動を広げることだ。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は五輪開会式の23日、東京・大阪で抗議アクションやデモを行う。24〜25日には、各地の運動を結集し、沖縄連帯、国際連帯の2021ZENKOin大阪(東京会場含む)を開催する。オリンピック中止、コロナ対策が先だ。東アジアの平和と豊かな社会をつくろう≠ニ発信し、大きく成功させよう。

 (7月14日)
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