2021年07月23日 1683号

【南相馬避難20_シーベルト基準撤回訴訟 門前払い&s当判決に怒り噴出】

 原発事故による特定避難勧奨地点の設定基準となった年間積算被ばく線量20_シーベルトの不合理性を暴き、住民の意向を無視して地域の分断を招いた国の責任を問う「南相馬避難20_シーベルト基準撤回訴訟」の判決が7月12日、東京地裁で出された。

 2015年4月提訴以来、18回にわたり審理が積み上げられたが、裁判長は「主文、…いずれも却下する。請求はいずれも棄却する」とわずか12秒で読み上げ、そそくさと退出。法廷を埋めた傍聴席からは「逃げるな」「ちゃんと説明しなさい」と怒りの声が上がった。

 判決は、勧奨地点の設定は「住民への注意喚起を図ろうとしたもの。避難を強制するものではない」、解除は「年間の被ばく線量が20_シーベルトの基準を下回ることが確実だという情報を提供するもので、帰還を強制したとはいえない」と、国の責任を免罪した。設定も解除も処分性(行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為であること)はなく、法的義務はないから「単なる情報提供」にすぎない、避難に伴う賠償等も義務ではなく支援だったとする。住民への説明義務についても、強制避難区域にはあるが勧奨地点にはないとして、事実認定すら避ける門前払い≠フ判決だった。

 報告集会で原告団副団長の藤原保正さんは「我々の思いは一つも聞いてくれなかった。情けない判決」と唇をかみしめた。「この値(20_シーベルト)を引き下げたくて、子どもや孫のためにやってきたのに残念だ」。気を取り直し、「あきらめたわけではない。皆さんに応援されたことは生涯忘れない」と決意を新たにした。

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