2021年07月30日 1684号

【新型コロナワクチン/無謀な接種拡大政策は中断すべき/副反応解析、ワクチン死防ぐ医療体制を】

 菅政権は新型コロナウイルス対策の「切り札」と称してワクチン接種拡大に猛進している。メディアも連日ワクチン接種の大合唱だ。だが、肝心の安全性は置き去りにされている。安全性が担保できない体制でのワクチン接種優先政策は中断すべきだ。

 7月7日、厚生労働省のワクチン分科会副反応検討部会と医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議に、ファイザー製新型コロナワクチン接種と「因果関係が否定できない」と評価される死亡例が初めて報告された。

ワクチン後死亡は554例

 ワクチンの副反応(害作用)疑い例については、医療機関と事業者から(独立行政法人)医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告される。接種との因果関係は問わない。

 この報告には、接種日、害作用の発生日、基礎疾患、死亡例については死因、病状経過、検査結果、報告者による因果関係の評価などが記され、副反応部会事務局によってとりまとめの上、部会の委員に諮られる。

 7月7日の会議に報告された死亡例は554人であり、そのうち、453人分が「専門家」による評価済みとして部会に報告された。

 評価の内訳はα(ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの)1件、β(ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの)7件、γ(情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの)451件だ(※1)。

医療問題研究会の分析

 ワクチンは健康な人に接種し発症・重症化・死亡を防ぐことを目的とする。少なくとも病気による死亡者数よりも、ワクチンの害作用による死亡者数が上回れば接種すべきではない。これが前提だ。では、国内での接種数が一番多いファイザー製ワクチンはどうか。

 エビデンス(証拠、根拠)に基づく科学的医療政策を目指す「医療問題研究会」は6月、「新型コロナ罹患による死亡とワクチン接種後死亡の比較分析」(以下、「比較分析」)を公表し「安全性を無視したワクチン接種の大合唱」に警鐘を鳴らしている。この「比較分析」を元にファイザー製ワクチンを検証する。

感染死と接種後死を対比

 「比較分析」は、年代別の総人口に対する「新型コロナ累積死亡者数」の割合を推定。次に医療従事者の先行接種のデータから各年代ごとの接種者数を推計し、ワクチン接種後の死亡数の割合を推定する。この2つの割合から、ワクチン接種後死亡者数が新型コロナウイルス感染による死亡者数の何倍にあたるかを計算している(表)。



 その結果、20歳代では、ワクチン接種後死亡が新型コロナ感染による死亡の34・1倍、30歳代では8・4倍、40歳代では13・4倍となった。少なくとも20歳代から40歳代は、新型コロナ感染症の死亡者数よりワクチン接種後の死亡者数が上回る結果だ(※2)。

 「比較分析」は高齢者の接種から死亡までの時間についても着目している。

 70歳以上の死亡例107例のうち54例が接種当日〜翌日だ。一方、既存の統計資料から突然死は死亡全体の10〜20%と推定されるので、「約半数が接種翌日までの死亡とはあまりに恐ろしい。(ワクチン接種との因果関係がない事例の)紛れ込みにしてはあまりに接種との時間が短い」と、ワクチン接種との因果関係を強く示唆している。

因果関係評価の問題

 「比較分析」は、死亡例の一部を紹介しながら因果関係評価の問題も指摘する。

 ひとつは、基礎疾患なしの25歳男性が精神異常・自殺とされた例だ。ワクチン接種後発熱し、徘徊など異常な行動をとり、精神科病院に向かう途中、同乗していた家族の制止を振り切って車から飛び降り交通事故死した。死因は自殺とされ「専門家」は評価不能としているが、「比較分析」は「明らかな意識変容であり、自殺ではないことは明らか」だと指摘する。

 また、高齢者で、肺動脈塞栓(そくせん)血栓症、接種当日に急性腎不全といった事例を紹介。いずれも「評価不能」とされているが「血栓症による副反応はアストラゼネカワクチンで有名だが、ファイザーも注意」「基礎疾患のない高齢者が接種同日急性腎不全となって死亡したこの報告は恐ろしい」と警鐘を鳴らしている。

 さらに「厚労省の報告からは、ワクチン接種と死亡の因果関係を認めないバイアス(偏り)が随所に見受けられる」とし、「第61回(6月9日)から、資料から死亡報告の詳細すら消えてしまった」と指摘。「寝たきりでほとんど動けず、周囲が持ち込まなければコロナ感染はあり得ない人に無理やり接種し、死期を明らかに加速させ、しかも経過を追えないような今の高齢者への接種体制は早急に中止しなければならない」と批判している。

40歳代以下はリスク大

 以上から「比較分析」は、次のような結論を導いた。

(1) ファイザーワクチンは、少なくとも20歳代―40歳代にとっては新型コロナにり患して死亡するよりワクチンで死亡する方が多いと推定される。

(2) 高齢者にとっては紛れ込みというにはあまりに接種から死亡原因の発症までが短い例が多い。しかも、安全性をフィードバックするべき厚労省がワクチン後死亡とワクチンの関係をなしにしようとする意図がうかがえる。

(3) 救急時のフォローアップ体制の不備が明らかな体制で接種されているワクチンである。

 そして、「このようなワクチンは中止すべきであり、少なくとも副作用情報の詳細分析を含めた全開示、個別接種など、観察が行える体制での接種体制への変換をすべき」と提言している。

 *   *   *

 ワクチンを含め、様々な医療行為は、リスク(害作用)とベネフィット(利益)の比較で語られる。そして、そのリスクを許容できるだけのベネフィットがあれば、大半の人が受け入れるだろう。例えば、抗がん剤は吐き気、嘔吐、下痢、脱毛などの副作用を伴うが、がん進行を抑えるベネフィットがはるかに上回ることが明らかであれば、人びとは許容する。だが、同じ副作用が胃薬で起これば、拒否するだろう。

 コロナワクチン後の死亡例の98%が「評価不能」ですまされ、実質的にリスク評価が行われず不問に付されている。一方、ベネフィットの根本に関わる新型コロナ感染症死亡者数は、PCR陽性者が療養中に亡くなった場合「厳密な死因を問わず全数報告」(厚労省通達)とされる。異なる死因で新型コロナ死とされるケースがどれだけあるのか、厳密な確定数もなしにはベネフィットも計れない。

 菅政権のワクチン政策は、リスクもベネフィットも不明・不正確のまま、ただひたすら接種数だけを追及し、手段が目的化している。「比較分析」が指摘するこうした現行体制のようなワクチン接種政策は今すぐ中断すべきだ。再開・実施するには、少なくとも調査・分析の体制を整え、ワクチン死を防ぐ医療アクセスを確保することが必要だ。

(※1) 複数の症状が報告された場合、症状ごとに評価され、評価件数合計と死亡者数は一致しない。

(※2)「比較分析」が採用した死亡者数は、新型コロナ死者数は累積で初発の20年1月16日から21年5月3日までの474日間、ワクチン接種後死者数は医療従事者への先行接種開始の21年2月17日から同4月30日までの72日間での推計。
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