2021年07月30日 1684号

【協同労働≠チてなあに?/労働者協同組合法の果たす役割】

 来年12月の労働者協同組合法(労協法)施行に向け、7月11日、ワーカーズコープ・法制化学習会実行委員会が初の市民向け学習会を足立区で開催。区内外から92名が参加した。

 労協法が法制化されると、協同労働は地域でどういった役割を果たしていくか。チューターはワーカーズコープ・東部事業本部の成田誠本部長。法制定の背景を「今までの社会システムは限界。株式会社は成長しないといけない存在だが、その中で環境問題はじめ多くの矛盾を生み出している。私有ではなく共有する時代へ」と語る。一人一票を原則とし、出資配当を認めず、剰余金の配当は従事分量による。法制化により、出資・意見反映・労働が一体となった非営利の法人格を起業できるようになる。

 NPO法人も非営利組織だが労働者=出資者ではなく、一般社団法人も同様に出資と経営に分離がある。

 法人としての意思決定の在り方とプロセスにおいて民主的である点が、労働者協同組合法人の優位性だ。

 講演の後は、ドキュメンタリー映画「ワーカーズ」の一部を上映、東部事業所3事業所のリレートークと続く。

 区内で学童保育所を担う足立わくわく地域福祉事業所は「地域で何かしたいとパントリーを立ち上げた。楽しいです」、清掃等をおこなう東部第2事業所からは「30年前に失業対策で始めた事業所。生活保護の方には、無理なく抜け出すお手伝いをしている」、就労継続支援事業をおこなうワーカーズコープ青井は「ヘルパー2級講座を受講後、障害ある人もない人も地域で働けるようにと作った事業所。夢を語りあう妄想大会など、わきあいあいと『楽しく』を必死にやりたい」。

 質疑応答では、IT事業での労協事業を希望する人、区内でシニアの仕事作りをおこなう人など、多様な参加者から発言があった。

 学習会開催にあたり、実行委員会メンバーは足立区へも法制化を伝える訪問活動を展開、行政はじめ地域への労協法の浸透をめざした。事業体であり、運動体でもある点がワーカーズコープらしさだろう。

自ら決定できる社会へ

 協同労働は、戦後の失業の痛みの中から誕生した。人間の要求は「食」と「職」の2つ。まともな生活と仕事を勝ち取ることは、常なる人間の求めだ。その上で大切なのが、人間としての自由と生存権であり、労働における自由=労協法=労働者が経営の核心に座ったということだ。労協法人による多様な仕事おこしが、社会の仕組みを「自ら決定できる」民主主義社会へと変えていく一歩となる。

 実行委員会は、協同労働推進ネットワークの立ち上げや協同労働の現場をめぐるツアー等を呼びかけ、「今後も手をつなぎ学び合おう」と会を締めくくった。

(東京・足立区議会議員 土屋のりこ)

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