2021年07月30日 1684号

【「月桃の花」歌舞団 ミュージカル ガマ人間あらわる 神奈川公演 若者に伝わる可能性感じる】

 7月11日、川崎市中原平和公園野外音楽堂で『ガマ人間あらわる』神奈川公演を行いました。湿気と30℃以上の暑さと強い日差しが団員を襲いました。設営や最後の練習を終え、本番直前には雷が。ポツポツと雨に降られながらですが、無事に公演を終えることができました。当日、見に来てくれたお客さんは35名。5月の公開リハーサルは90名近くの方に見ていただきましたが、多くを次に繋げることはできませんでした。

 けれど、「やって良かった!」と、私は心から言えます。

やって良かった!

 その理由は、5月の公開リハーサルを見た中学生と高校生の2人が友達を誘い、本番にも来てくれたからです。「ぜひ友達も誘ってみてね!」―そう電話かけをしたかいがありました。私はその子たち3人のために舞台に立つような気持ちで本番に臨みました。

 本番後の感想交流、その後のユース交流にも3人は参加。「ダンスやエイサーがかっこよかった」「演技力があってすごかった」と技術的な面を褒めてもらった他に、「おばあちゃんが広島で被爆した話を小さいころ聞いていた。のぞみ(原発事故の被害に遇うキャスト)を身近に感じた」という感想がありました。

 その感想を言ってくれたのは友達に誘われて新しく来た中学生。「ガマ人間」の世界を若者に身近に感じてもらうことは、私が神奈川公演で目指した一つの目標でもありました。

声上げるべきと気付く

 今年は戦後76年、3・11から10年経ちます。他にも悲しい事件や事故がたくさんありました。すべて過去のことではなく地続きになって、今もあることです。

 もしかしたら、また同じようなことが繰り返されてしまうかもしれない。身近に感じることで、誰かの問題ではなく一人一人が考えていくべきなんだ、声を上げていくべきなんだ、と気付くきっかけになるのだと思います。

 けれど身近に感じたからといって、伝えたいことがすぐに伝わるわけでは当然ありません。私が歌舞団に入ったのは16歳の頃で、正直、掴(つか)み切れなかったんです。「ガマ人間」という劇のメッセージが何なのか。けれど劇の練習や社会の勉強を重ね、ゆっくり理解していくことができました。

 今回の公演で繋がることができた若者は、私が歌舞団に入った時とほぼ同じ年です。私は、エイサーや演劇を楽しむ中で感じた社会のことや自分のことをたくさん話しました。   

 私が「歌舞団ってなんか面白いなぁ」って思ったように、今の若者にも思ってもらえたらうれしいです。その可能性を感じられる神奈川公演になりました。

 公演が終わってもまだまだ立ち止まれません。次に繋げていけるようにがんばっていきます!

 (神奈川・青島みのり)

第1回の歌舞団カフェ 京都滋賀歌舞団を作るために

 7月3日、京都滋賀歌舞団を作るために、歌舞団カフェを京都市内で初めて行い、ストリートライブの宣伝で出会った沖縄出身の大学生、私の友人、京都在住の女性が参加した。

 カフェは、オープニングにエイサー、そして福島から避難してきた方のお話を聞き、感想・意見交換という流れで行った。「普段、原発事故の話は聞けないのでとてもいい経験になった」「10年前に起こったことだけれど今の方が状況が悪化しているように思う」「今も声をあげ闘っている人がいることを知り、自分にも何ができることをしたい」という感想が出た。

 実際に当事者のお話を聞くことで原発事故とはどういうものだったのか、当日の状況を知った上で改めて考えるきっかけになったのではないかと思う。また、沖縄出身の学生からは、沖縄に住んでいたときのお話を聞いた。「夜中でも米軍機の大きな音があり、家の近くを飛んだ時はスマホの動画が止まってしまう。京都に住んでいても、地下鉄電車の音が米軍機の音に聞こえるから怖い」と話してくれた。自分が住んでいる場所との違いに驚いた。

 今回来た方は歌舞団の活動に少しずつ参加してくれることになった。第1回の歌舞団カフェは成功した。

  (滋賀・岩崎奈那美)



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