2021年08月06日 1685号

【2021ZENKOin大阪 国内外のゲスト交え/腐敗した資本主義社会の変革めざす】

 第51回となる平和と民主主義をめざす全国交歓会―2021ZENKOin大阪が7月23〜25日、開催された。コロナ禍であらわになった資本主義の腐敗した政治を国際連帯の力で変革していく方針を確認した。大阪メイン会場と東京をはじめサブ会場を結んだ。多彩なゲストが海外からもオンラインなどで加わり、3日間のべ1100人が参加した。ゲストの発言を紹介する(まとめは編集部、3〜6面に関連記事)。






新自由主義と全世界で闘う

民主主義的社会主義運動(MDS)委員長/佐藤和義さん

 このコロナ禍の中でオリンピックを開催するという馬鹿げた政策に、人の命をかえりみない菅政権のでたらめな本質がある。

 彼らがコロナ対策でしてきたことは何か。PCR検査をやらない。医療体制・設備を充実しない。そして緊急事態宣言を何度もくり返して基本的人権を制約してきた。やむなく行った給付金といえば、パソナや電通などの資本を儲けさせるものだった。

 なぜか。医療費を減らしたい、医療に対する財政出動をしたくないということが根底にあるからだ。ワクチンは一過性のもの。病院や医療従事者を増やさなくてもいいと思っている。

 これが新自由主義政策だ。すべての資金をグローバル資本の成長のためにだけ回す。そうした新自由主義的な医療政策を闘って変えねばならない。大病院を公有化し公的病院を拡充すること。製薬資本を国有化し、資本の利益のために薬を作らせないことだ。

 市民の命と健康を守るための根本的な変革、すなわち民主主義的社会主義の実現を目指しMDSは闘う。


イラク労働者共産党書記長/サミール・アディルさん

 新型コロナ発生から1年半。明らかになったのは世界にはいかに平等、正義が無いかということだ。G7、中露など帝国主義諸国間で、市場の獲得を求め対立が生じている。緊張を高め、世界の安全の脅威だ。

 イラクは悲劇的な状況だ。IMF(国際通貨基金)と世界銀行はイラク国民議会に新たな政策を押し付けてきた。21年予算で政府、議会は石油を値上げし、人びとに20%もの増税を行った。1400万人以上の労働者が失業状態だ。原因は宗派の私兵らによる治安悪化と汚職だ。私たちは失業と新自由主義政策に対抗し、安全を確保するため、生活圏で運動の組織化を始めた。

 今後の世界には2つの道しかない。1つは「野蛮への道」であり他方は「社会主義への道」だ。社会主義は自由で平等で暴力から解放された平和な世界だ。私たちが社会主義へと向かう代案を出さねばならない。


ミャンマー民主化運動活動家 ティンウィンさん

 お願いがある。どうか私たちの国を助けてほしい。ミャンマーでは、2月1日の軍事クーデター後、Z世代≠ニいわれる若者たちが民主化運動の中心となっている。国民統一政府(NUG)が本当の、民主主義の正しい政府だ。独裁的な国軍の政府ではなく、NUGを信じてほしい。

 日本からのすべてのODA(政府開発援助)を今すぐ止めてください。これは全部国軍に行ってしまう。


フィリピン・戦争と貧困に反対する親と子の平和運動/ポール・ガランさん

 ドゥテルテ政権はコロナ危機を好機と捉え、軍事費、情報活動、反テロ対策費を増額し、「アカ」のレッテルをはって共産主義者や市民運動を弾圧する国家タスクフォース(NTF―ELCAC)の予算拡大を図っている。

 最優先すべきコロナ対策では、PCR検査や接触者調査もせず医療機関不足を放置した結果、感染者145万人、死者2万5459人に上る。政権の社会改善への支給額はわずかで、食住をかろうじて賄う程度だ。

 幼児教育と給食プログラム=アバカダの活動にも、このパンデミックは大きな影響を及ぼしている。私たちは都市貧困地域で週5日、子どもたちに給食を実施した。先生やスタッフは、50%の給料で1年間をしのいでくれた。Every child is my child≠ニいう連帯精神で世界中の子どもたち家族が平和な社会を築けるよう一層の絆の強まりを願い、支援を呼びかける。


韓国・希望連帯労組組織局長/チェ・オスさん

 労災死が年間2千人超もいる韓国では1月、「重大災害企業処罰法」が成立したが、大手企業への責任追及は難しい状況だ。

 非正規で働く住宅管理人が、特定の住民からの攻撃により自殺した問題があった。社会的な問題にして加害者を拘束し地域の区長に再発防止を約束させた。

 国境を越えても、労働者をいじめる会社の本質は同じ。しかし、我々労働者は決して弱い存在ではない。


市民の力で政治変革を

社民党副党首/大椿ゆう子さん

 衆院選で私は大阪9区での立候補を予定。ZENKOのみなさんには酷暑の中、広い地域のポスティングに協力いただき感謝している。

 オリンピックには誘致段階から反対してきた。福島第一原発事故で多くの人たちが避難生活をしている。避難者を後回しにし、オリンピックに税金を使うのは決定的に違う。

 次期衆院選で命を守るための政権交代をZENKOとともに実現したい。


日本共産党東京都議会議員 清水とし子さん

 日野の市民と野党の共同は戦争法が強行された2015年以来築き上げられ、4月の市長選で大きく広がった。市民が力を合わせれば政治を変えられる。

 都議選では、あるが精一さんたちが市民応援団を立ち上げて力を発揮し、当選できた。総選挙での前進につながる重要な成果だ。

 都議会野党は議会招集権を持つことになった。要求実現のために、私の議席をフルに活用してほしい。


大阪府茨木市議会議員 山本よし子さん

 議員になって半年。議会・議員の役割とは何かを日々感じている。コロナで先の見えない不安の中にいる市民が求めるのは、命とくらしを守ること。ところが、茨木市政の実態は、大規模開発など大企業の利益になることばかり。五輪にしがみつく菅政権、維新のやり方と変わらない。この間の大きな成果は、6月議会で埋め立てに遺骨混じり土砂を使わせない意見書を全会一致で採択したことだ。


東京都足立区議会議員 土屋のりこさん

 足立の地域変革は大きく前進した。介護保険料値上げ反対、自民党議員のLGBTQ差別と闘い、共闘の広がりを作り出した。自由と生存権を保障し市民が決定できる地域社会をめざす労働者協同組合=ワーカーズコープとのつながりができた。未来に向けてやりたいことがある。「フードパントリーに来る困窮した人たちを雇用できる民主的な砦を、事業を作る」。そんな夢を語り合っている。


差別・分断政策と闘う

福島原発かながわ訴訟原告団団長/村田弘(ひろむ)さん

 原発事故から10年4か月。今も5万人を超える人が故郷に帰れない。原発事故を忘れたのか。コロナ禍のオリンピックに腹の底から怒っている。

 事故から3年目、まだ汚染水がだだ漏(も)れの中、安倍晋三は「福島はアンダーコントロール。東日本大震災・原発事故からの復興を世界に発信する」と大看板を掲げ、被害者は見捨てられた。避難住宅から出られない人を裁判に訴え追い出す。2倍家賃を請求する。国が福島県を手先に仕立てたのが現実だ。原子力緊急事態宣言とコロナ―二重の緊急事態の下、避難者は生活を根本から破壊された。

 私たちも黙っていない。全国で37の裁判をおこし、25の判決を得た。国・東電の責任を追及し、踏みにじられた人生を回復する。黒い雨判決で認められた広島の方々と苦痛は同じ。「上告するな」と共同で国に申し入れた。共に闘っていく。


全日建連帯労組関西地区生コン支部副委員長/坂田冬樹さん

 うちほどZENKOにお世話になっている組合はない。弾圧が強まって4年。檄をとばしてくれ、しっかり立っている原動力の一つになっている。

 7月3日に武建一執行委員長への不当判決があったが、反戦平和や反原発など地道にひたむきに闘う中での連帯の積み重ねが実刑にはさせなかった力と思う。分断される労働者の窮状にしっかりと向き合い、労働組合の強化を図り控訴審の闘いを進める。


大阪朝鮮中高級学校オモニ会/玄順愛〈ヒョンスネ〉さん

 学校無償化制度から朝鮮学校だけが外されて11年。民族教育権を守るため、全国の朝鮮学校のオモニたちが立ち上がり、日本の市民たちとともに闘った。国連の差別是正勧告を得た。

 子どもたちに差別を植え付ける日本社会の状況を許すことはできない。それでも子どもたちは朝鮮学校で学ぶ。朝鮮人として誇りの持てる場は朝鮮学校にしかない。民族教育権を守るための闘いに邁進したい。

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