2021年08月13・20日 1686号

【ZHAP(ZENKO辺野古プロジェクト)で辺野古を止める 米軍は最大の温室効果ガス排出機関 環境破壊の新基地建設は撤回】

 第51回平和と民主主義をめざす全国交歓会=2021ZENKOin大阪第1分科会「ZHAP(ZENKO辺野古プロジェクト)はDSAと連帯して辺野古新基地を止める」は、DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)国際委員会など多くのメンバーとの初のオンライン討議によって、このプロジェクトを勝利に導くための行動方針を確認した。

 今後、DSAとともに米連邦議会と米政府に「辺野古新基地建設計画を断念させていく」ポイントとして、(1)奇跡の海≠破壊する環境問題(2)沖縄県民というマイノリティーの人権問題(3)遺骨の含まれる土砂で埋め立てという人道問題などさまざまな側面が強調された。その論点を整理し、全世界の人びとと共に辺野古を止める必要性と意義について考えたい。

膨大な米軍のCO2排出量

 バイデン米大統領は「2050年までに温室効果ガスの実質排出ゼロを達成する」を公約に掲げ、大統領就任初日にパリ協定に再加入した。脱炭素化に向けた政策は米政権の「最重要課題」と位置づけられている。

 しかし、世界で最も温室効果ガスを排出している組織の一つが「米軍」であることは知られていない。京都議定書に基づく気候変動報告書でも、米軍など軍事組織は計算対象外とされており、米国政府も米軍の排出量を公開していない。

 この問題について2020年2月、米ルイス&クラーク大学のマーティン・ハート・ランズバーグ名誉教授(経済学)が、米軍が世界最大の温室効果ガス排出組織であるとの報告を発表した(米オレゴン州「ストレート・ルーツ」紙)。

 報告によれば、米ブラウン大学の研究事業「コスト・オブ・ウォー・プロジェクト」共同責任者のネタ・クロフォードは「米国防総省つまり米軍は、世界で最も大量の石油を消費する機関であり、単一の組織としては世界最大の温室効果ガス排出者」と指摘している。

 1997年の京都議定書では、米国が圧力をかけ軍事活動からの排出は国家の排出量にカウントされず報告の必要もないことが合意された。そのためこれまで軍事部門からの排出量は計算に含まれていなかった。

 燃料の使用状況を公開しない米軍に対し、オリバー・ベルチャーをはじめ英国の4人の研究者は情報公開法に基づき、米国防兵站(へいたん)局(DLA)に軍の燃料購入記録に関する情報開示を求めた。その結果、2013〜2017年度までの陸海空軍の燃料購入実績、国外の米軍拠点・キャンプ・基地・給油船の管理業者との間で交わされた燃料契約の記録から、米軍が排出する温室効果ガスの推定値が割り出された。

 4人の研究者は「米軍は、中くらいの規模の国々よりも多くの液体燃料を消費し、二酸化炭素を排出している」と発表。2014年に米軍が排出した温室効果ガスは、世界各国との比較でも45番目でルーマニアやイスラエルの総排出量よりも多いと警鐘を鳴らす。

奇跡の海を壊させない

 沖縄でよく見るオスプレイ、輸送ヘリ、ジェット戦闘機、ハンビーなどのジープやトラック。どれも真っ黒な煙などを吐き出して空や道路を駆け巡っている。施設を破壊し戦闘するための軍用機・艦船・車両が環境を考慮するはずがない。

 世界はいま、気候危機をストップさせるための有効で迅速な行動を起こすよう各国政府に求めている。バイデンが「温暖化阻止を進める」と言うなら、世界44か国に800も存在する米軍基地を閉鎖・縮小していくことが必要だ。

 まして、日本で初めてホープ・スポット(世界で最も重要な海域を保護する)に指定された奇跡の海≠、2020万立方b(東京ドーム17個分)もの赤土で埋め立てて建設しようとする辺野古新基地建設など論外だ。20年以上も前の基地建設計画はあらゆる面で破綻している。

 辺野古新基地建設は、地球環境を守るためにもただちに撤回すべきだ。

(ZHAP事務局長 西岡信之)



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