2021年08月13・20日 1686号

【2021ZENKO ODA分科会/ミャンマー(ビルマ)民主化運動に連帯/ODAの無条件全面停止を】

 「ODA(政府開発援助)は途上国の人々の助けになっていないばかりか、彼らの富を収奪しており、廃止すべきである」―私たちコアネットはこうした立場で活動してきたが、その典型と言うべきミャンマー(ビルマ)へのODAに焦点をあてた。

 基調報告と特別報告では、▽コロナ危機をめぐるワクチン確保で富裕国と貧困国との格差が大きくなっていること▽先進国はワクチン共同購入などを行いIMF(国際通貨基金)などの国際金融機関は資金支援を行っているが、これは事実上新自由主義の否定≠意味していること▽日本のODAもこうした動向を反映しているが、「コロナ緊急支援」は旧来の円借款への積み増しや「自由で開かれたインド太平洋」戦略への加担という「戦略ODA」であり、「コロナ支援」が詭弁であること▽「インフラシステム輸出」(ODAなどの公的資金を使いシステムごとインフラを輸出するもので安倍政権以降推進された)がその象徴である「インド新幹線」の遅延などで事実上破綻していること―を明らかにした。

Z世代の勇気と決意

 ミャンマー(ビルマ)の民主化運動に関わってこられたティンウィンさんは、2月1日の軍事クーデターの背景、その後の市民の抗議運動、軍治安部隊による弾圧と虐殺、軍による経済破壊、コロナ危機による都市居住の経済的弱者の命と生活への大きな影響を報告。日本のすべてのODAを即時停止し、軍政が権力を失うまで措置を継続すべきことを述べた。

 前半のスピーチのまとめでは「ビルマ民衆の共通の願いは、将来の世代のために軍事独裁政権を倒さなければならないということである。(中略)こうした反評議会軍政の運動において主導的な役割を果たしている『Z世代』(1990年代中盤から2000年代終盤までに生まれた世代)の若者たちは、(中略)評議会軍政を倒すのだという純粋な勇気と決意を有している」と強調した。

 後半では、「コロナ危機下にあっても1月31日までは、アウンサンスーチー政府は最も貧しい人々からも拠出された巨額の寄付によりパンデミックの救済パッケージとして財政支出してきた。2月1日以降、軍政は何もしていないばかりか、彼らの支持者のために酸素ボンベを独占している」「私たちは軍隊と彼らの世界的な金融システムへのアクセスに対する標的制裁を呼びかけている。それによって、軍に対して自らの利権を貪ることに圧力をかけ、武器、弾薬、戦闘機を購入する代わりに公共サービスにより多くを費やさせることができる。日本のODAは2015年に『国益』に限定され(政府の言う)『高貴な』目的は薄められたが、ビルマの軍事政権下でODAを継続することは、この目的のためにさえならないことを忘れないでほしい」と強調した。また、NUG(国民統一政府)を正当な政府として9月国連総会で承認させる運動への支援も呼びかけた。

日本市民の課題

 分科会では、「ミャンマー(ビルマ)に対するODAを『ODA供与国日本』の市民自身の課題として位置づけ、『無条件での対ミャンマーODA全面停止』を求める運動を強化する」と決議した。これに基づき、一層の連帯運動を展開していく決意である。

(コアネット<戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション>・三ツ林安治)

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