2021年08月13・20日 1686号

【みる…よむ…サナテレビ(594)2021年7月31日配信 イラク平和テレビ局in Japan/契約労働者に賃金を払え―財務省前に全国から集結―】

 イラクの政府機関は、低賃金で無権利の契約労働者を大量に雇用している。何年もの闘いで賃金と労働条件を改善する国会決議を獲得したが、政府はサボタージュしている。2021年5月、イラク全土から多数の労働者がバグダッドの財務省の前に集まって、国会決議の実行を政府に迫った。サナテレビはその現場に入って取材した。

 財務省前に全国から契約労働者が集まっている。長年の闘いで、ようやくイラク国民議会で賃金など労働条件を改善する決議315号を可決させた。ところが、政府はその内容を実際に進めるための予算配分を2年連続で行わなかったのだ。

 抗議行動の代表アリ・アル・ルバイさんは「多くの州とあらゆるサービス部門の省庁の労働者が国民議会決議315号の実施のために参加しています」と闘いの広がりを伝え、さらに15年以上勤務した年配者に対する社会保障適用を要求していると訴える。

 ある男性労働者は「労働者が与えられているのは月15万ディナール(約1万1千円)だけ」と低賃金を告発する。そして当局が「もしも抗議行動をしたら、解雇する」と言ってきたことに怒りをぶつける。

要求獲得へ ストも

 ルバイさんは「決議315号が採択されても、政府は実際には2020年も2021年も契約労働者に支払う賃上げの予算を組んでいない」と指摘する。財務省の責任を追及すると「内閣に行け」、その次には「閣僚評議会に」「財務省の前でデモ行進しろ」というようなたらい回しを批判する。

 労働者たちは「我々の要求を獲得するまでストライキを続ける」と政府を追及し、決議315号獲得を足掛かりにさらに攻勢的に闘いを進めている。そのエネルギーが伝わってくる。

 イラクの非正規・不安定雇用の労働者は賃金と労働条件改善の要求を政府に直接突きつけて闘っている。この闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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