2021年08月27日 1687号

【ダーバン会議から20年 日本の植民地主義の今/ヤスクニキャンドル行動は問う】

 8月7日、都内の会場と沖縄、韓国、台湾、各参加者をつないで行われた「2021平和の灯を!ヤスクニの闇へ第16回キャンドル行動」。テーマは「ダーバン20年から考える東アジアの植民地とヤスクニ」だ。

 国連は2001年、南アフリカのダーバンで「反人種主義国際会議」を開催。「植民地主義が起きたところはどこであれ、いつであれ、非難され、その再発は防止されねばならない」とするダーバン宣言を採択した。以来20年、欧米各国が遅々たる歩みとはいえ脱植民地化へと進む一方、日本における植民地主義の清算は後退し、政府自ら差別・排外主義扇動の先陣を切っている。

 シンポジウムで、東京大学名誉教授の高橋哲哉さんは「マクロン仏大統領は選挙中、旧植民地アルジェリアで『植民地化は人道に対する罪。謝罪し、私たちが直視しなければならない過去の一部なのだ』と述べた」と紹介し、「沖縄に対する日本の植民地主義は『琉球併合』から140年余り続く。現在、琉球諸島では新基地建設が強行され、自衛隊が続々と進出し、ミサイル基地が建設され、日米の軍事要塞化が進められている。この軍事植民地主義をやめさせることがまず必要」と指摘した。

 「差別の原因は根深く、近代国家の本質に達する。そのため国家の抵抗は激しく、ダーバン宣言に十分な文言は盛り込まれなかった。未完のダーバン宣言の完成・実行が人類の使命となる」と自身も参加したダーバン会議を振り返ったのは、市民外交センター共同代表の上村英明さん。琉球民族遺骨返還請求訴訟原告団長の松島泰勝さんは「琉球人は生きている間、植民地支配されるだけでなく、死してニライカナイに行ってからも日本による植民地支配を受けている。遺骨盗掘問題は“Ryukyuan Lives Matter(琉球人の命を軽んじるな)”という人種差別問題だ」と告発した。

 遺族の訴えでは、同訴訟原告の一人、彫刻家の金城実さんが沖縄のアトリエから「国は具志堅隆松さんが骨を拾い上げてきた場所の土を丸ごと辺野古の海に投げ、戦争の基地に埋める。こんな野蛮な話があるか。罰(ばち)当たりめが。人類として通用するか。てめえらどこから生まれたんだ」と怒りのメッセージを寄せた。



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