2021年09月03日 1688号

【2021ZENKO労働運動分科会/若者が人らしく生きられる社会を/日韓労働者の若い世代が団結】

 7月25日、第51回平和と民主主義をめざす全国交歓会=2021ZENKOin大阪の「あきらめない!つながり声を上げる若者・労働運動分科会」は、大阪、東京、ソウルをオンラインで結び50人が参加した。

一人でも声を上げる

 分科会は、長時間パワハラ過労自死事件の和解解決を勝ち取ったゴンチャロフ労組による勝利報告でスタート(本紙1686号既報)。関西からは、同僚の暴力による重傷に労災適用を求めたことで試用期間中3か月で不当解雇されたAさんのワツコ試用期間解雇争議をはじめ、解雇撤回を求めるなか卯争議、パワハラ・セクハラとの闘い、非常勤職員の賃上げへの闘いなど報告が続く。

 Aさんは「挫けそうになったことが何十回もあったが、踏ん張れたのはなかまユニオンに相談したから。今年2月に発足した『ワツコ争議を支援する会』を通じて若者の就労環境の改善も考えていきたい」とつかんだ確信を明快に語った。

 関東からは、協成(株)解雇撤回闘争当事者の闘いや、全国際自動車労組による残業未払い勝利解決と今後の闘いが語られた。

 職場に労働組合を作る<eーマでは、▽老健施設における退職強要に対し22人で労働組合を結成して撤回させた神明会のBさん▽メガネスーパーのパワハラ、セクハラ、組合弾圧を許さないと闘うCさん▽組合弾圧による組合員の解雇や処分の撤回、団交へ闘う新栄会組合の報告があった。

 Cさんは「組合で交渉することで、降格と大幅減給を止めることができた。被害者同士がもっとつながり、働きかけることで、一人一人の状況が改善されるだけでなく、会社全体を改善させることができると思う」。首都圏なかまユニオンとともにさらに闘いを広げていく決意だ。

 神明会の職場状況に質問が寄せられ「多くの人に、業務への手当が支給されない、夏季・冬季の有給休暇が各1日しかないなどへの不満があった。各部のリーダーが組合を通じて要求していることを知り、加入が増えている」とのBさんの答えに共感と感銘の声が。

「私たち労働者は強い」

 韓国・希望連帯労働組合のチェ・オス組織局長は、韓国の状況を報告し、参加者にエールを送る。

 「韓国でも日本と同じく、非正規労働者の雇用関係は難しい状況が続いている。希望連帯労組で、ケーブルテレビのD`LIVE(ディライブ)支部では、10年前に9割の労働者を労働組合に組織する大きな闘いがあった。10年ぶりの団体交渉で、コロナ禍を理由にリストラの提案がされた。1回勝っても終わりではないと総括しながら、闘いの準備を進めている。国境を越えて、韓国でも日本でも、労働者をいじめたり弾圧したりする会社の本質は変わらない。けれど、我々は決して弱い存在ではない。神明会のように、会社側がどれだけひどい行動をしてきても、我々が一緒になればもっと強くなると思っている。ゴンチャロフの話もうれしく聞いた。最後まで一緒に連帯したい」

 チェさんの言葉に、神明会のBさんは「連帯してこそ強さを発揮できる確信を得た」と語る。


展望示す運動へ

 分科会は、若い世代の労働者が中心となって運営。また、報告も多く行われ、関東・関西の闘いの交流の場ともなった。

 討議では、決議案の“若者が生きられる社会を”の表現に、「老人はどうなるのか?」との意見も出された。なかまユニオンの井手窪啓一委員長は「若者の死亡原因の第1位が自死であるように、労働者、特に若者は過酷な状況に置かれている。働こうとしたら非正規雇用。6月の集会で発言した組合員は全員がメンタルの病状を抱えている。だからこそ、若者に展望を示していくことが重要だと痛感している」と応え、さらに議論を深めた。最終的に「若者が人らしく生きられる社会をともに作ろう」との文案にまとめられた。

 コロナ禍の現在、非正規労働を強いられる社会を日韓の労働者が連帯して変えていく道筋を確認する分科会となった。

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