2021年09月03日 1688号

【横浜市民の大きな勝利/新市長に山中竹春さん/菅首相直系候補らに大差/カジノ誘致にとどめ、「コロナ専門家」に期待/「一票で政治を変えられる」】

 8月22日投開票された横浜市長選は、市民と野党の共同候補・山中竹春さんが菅首相の推す小此木八郎元国家公安委員長に18万票以上の大差をつけ圧勝した。

 午後8時投票終了と同時に「当確」が報じられると、山中さんは「市民のみなさまから大きな大きな期待をいただいた。市民一人ひとりの声を聞く、市民の声が通る横浜市政を実現する」と決意を表明。カジノ誘致について「行わない宣言を早期に出し、必要な手続きに入る」、コロナ対策では「ワクチンの加速化、感染源のいち早い特定、治療機会の確保」を図ると述べた。

 山中候補当選の確信は前夜、桜木町駅前の「マイク納め」にも満ち溢れていた。聴衆は先行した小此木候補演説会の少なくとも倍の約300人。沸き起こる拍手の力強さは桁違いだ。

 カジノ誘致に一貫して反対してきた藤木幸夫・横浜港ハーバーリゾート協会会長は「単なる市長選挙じゃない。私と菅のケンカなんだ。このケンカで私は負けたくない」ときっぱり。江田憲司衆院議員(立憲民主)は「ここまで来られたのはひとえに、連日連夜、粉骨砕身、一致結束してみなさんにご支援をいただいた賜物(たまもの)」と市民の取り組みに謝意を表した。

一人ひとりの声を聞く

 「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」の岡田尚(ひさし)弁護士は「住民投票直接請求の活動がなかったら、この市長選挙はなかった。市民の力、市民の熱意、市民の行動が山中竹春候補を生み出した」と振り返り、青柳陽一郎衆院議員(同)は「巨大な自公政権もみなさんの一票があれば代えられる。みなさんの一票で政治を動かすことができる。政策が変われば生活が変わる」と呼びかける。

 熱い拍手に迎えられて山中さんが登壇。「新しい横浜にしてほしいという応援を行く先々でいただいた。医療関係者を支え、市民のみなさまを早くコロナウイルスの脅威から解放しなければいけない。378万人都市、ライフスタイル、ワークスタイルも大変多様だ。問題の一つ一つに向き合い、真実から眼をそらすことなく横浜市を変えていきたい」と誓った。

 この言葉通り、山中候補は選挙期間中、「横浜をコロナとカジノから守る」に加えて、市民の誰もが安心して生き生きと暮らせる街づくりに向けた施策を丹念に語りかけた。街頭演説で「自身の経験から介護には強い思い入れがある。介護士のような社会を支えるエッセンシャルワーカーの待遇を改善し、増員しなければいけない」「私自身の経験で、横浜は子育てしやすい街ではない。第1希望の保育園は落ち、第2希望は十数倍の倍率。待機児童問題の当事者だった者として、体当たりで取り組む」「子どもの医療費にも悩まされた。治るかどうか見通しのつかない病気で長期間通院した。義務教育の間は医療費の心配をしないで済むよう無償化を15歳までに引き上げる」と訴えると、静かに聞いていた聴衆から共感の拍手が寄せられた。

市民が前に 共同広げる

 勝因は何といっても、市民が主体となり市民が前に出て共同を広げたこと、街頭で電話で広範な有権者と対話を重ねたことだ。「STOPカジノ市長選共同アクション」「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」などによる「選ぼう!カジノ反対の市長を!横浜パレード」(7/18)は、共産党の山中候補支援発表(7/21)を下支えした。「ともにつくる会」は告示後、連日鶴見駅前で「横浜市政・シールdeアクション」。山中さんの名を広く知らせた。8月19日に山中さんを迎えて開いた鶴見駅前集会には西口250人、東口60人が集まり、初めて山中候補に会う市民とのグータッチが続いた。電話かけは鶴見区内6千世帯以上に及ぶ。

 投票率が前回を11・84ポイント上回る関心の高さはこのようにしてつくられた。「ともにつくる会」の青島まさはるさんは「住民投票とリコール、2つの底辺からの運動が共同の場を広げ、林市政・菅政権への怒りを山中さん勝利に結実させることができた。立憲民主党をはじめ野党は、市民の草の根の取り組みこそ決定的な力になったことを忘れないでほしい」と話している。





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