2021年09月10日 1689号

【フィリピンに連帯 コロナ危機をともに乗り越える子ども・青年たち 10月9日「世界子ども月間」イベントへ】

 7月25日、日本とフィリピンから37人が参加して開催された2021ZENKOのフィリピン連帯分科会。30年来、私たちが支援してきたアバカダ(マニラ郊外の貧困地域就学前教育施設)のスタッフたちと、関東子ども全国交歓会の青少年6人も含む交流がオンラインで実現した。

 フィリピンでは1年以上、高齢者や18歳未満の子どもの外出禁止が続く。政権は集会禁止や抗議行動弾圧のみで、物価高騰、飢え、貧困が悪化。市民は1月からパントリー(食糧支援)活動を各地で開始し支援を訴えている、とアバカダ運営者のポール・ガランさんが状況を説明する。

 アバカダでは、昨年8月末よりオンライン授業。同4月から貧困地域の子ども150人への給食配布も継続中だ。スタッフ5人がそれぞれの活動を語った。

 アバカダ卒業生の若いロゼッタ先生は、オンライン授業配信の担い手だ。「11歳から働きながら学び続けた。大学時代帰りの運賃がなく2・7キロを歩いて帰った。ランチが食べられずひもじい思いもしたが、教会や家族に支えられて先生の資格を取った。学ぶことをあきらめないで、と子どもたちに伝えたい」

子どもたちの成長が希望

 エステリータ先生は勤続30年。19年前ロゼッタ先生を教えた。「子どもたちが努力し成長していくのに出会えるのが私の喜び。外出禁止で親も子もストレスがたまり、子どもはパトロールする警官の目を盗んで外に出る。勉強が続けられない子もいるが、機会があれば戻れるプログラムがあるので希望を捨てていない」と教育にかける思いを語る。

 給食活動を担うアミーさんとジョアンナさんは「貧困家庭の子どもらが1日をスタートさせるのに必要な、新鮮で温かく美味しい栄養価の高い清潔な朝食を心がけている」と週5日のメニューを示した。「長年の縫製指導でここまでこれた。生活が成り立つ注文があれば」と要望を述べるのは縫製担当のレイヤーさん。

 みな不慣れな英語で話し、東京会場に参加した幼児教育に関わる母親からの日本の現状報告にも耳を傾けた。

 締めくくりは東京の青少年がリードするろうそくダンス。青年の一人は「できることをしていかないと状況は変えられないと教えられた」と語る。コロナ禍の下で、アバカダのスタッフたちがその心意気と子どもたちの成長を生き生きと自信を持って語る姿に、日本の参加者も元気をもらった。

 アバカダは8月23日から新学期スタート。10月9日“世界子ども月間―子どもたちの権利を連帯の力で守ろう!”イベント、11月17日連帯コンサート(ともにオンライン開催)準備が日比で進んでいる。この草の根からの活動に支援と協力をお願いします。(連絡先 kobukefam@jcom.zaq.ne.jp)

(フィリピンAKAY(アカイ)プロジェクトをともに創る会・古武家<こぶけ>育子)


厳しい状況でも良い教育へ スタッフに勇気もらう

 この数年間、関東子全は、アバカダの子どもたちとのピースキャンプに参加しエイサーや踊りなど文化交流を行ってきた。言葉で表しきれないほど、フィリピン社会への衝撃と子どもとの交流に感激してきた。コロナ禍でもなんとかこの交流を継続したいと考えた。

 今回は、エイサーと、子どもたちからアバカダの子どもたちに英語でメッセージを行い、ビデオレターに。小学生から若者まで初めての英語メッセージだったが、子どもたちは緊張しつつもきちんと準備しやりきった。活動の映像とともにコロナ禍でも安心して集まることができる居場所≠大切にしたいと伝えた。

 分科会でも子どもたちが「このビデオをアバカダの子どもたちにも見せて下さい」「メッセージを待ってます」と英語で訴えた。参加した中高生や若者も、学業や就職でそれぞれに悩みを抱えている中で役割を持って自主的に参加した。フィリピンとの出会いでの若者の変化を実感する。

 今後もアバカダとの交流をみな楽しみにしている。

(関東子全サポーター・漆山幸江)

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