2021年09月17日 1690号

【この過ち 繰り返しはせぬ/関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者を悼む/小池知事 5年続けて追悼文拒否/「群馬の森」朝鮮人追悼碑訴訟 東京高裁が不当判決】

 関東大震災から98年。虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する式典が9月1日、東京・墨田区の横網町公園で催された。

 実行委員長の宮川泰彦さんが開式のことば。「悲惨な歴史的事実を忘れないこと、世代を超えて伝承していくことが今を生きる私たちの責務。植民地支配に対する反省が共有されているだろうか。民族的差別意識は今はないと言えるだろうか」と問いかける。

 『関東大震災朝鮮人虐殺の記録―東京地区別1100の証言』の編著者・西崎雅夫さんは「多くの犠牲者の名前もいまだに分からない。虐殺の真相究明は全くなされていない。遺族・同胞の方がたにお詫び申し上げる」と述べ、小池百合子都知事が今年も追悼文の送付を拒否したことについて「犠牲者を冒涜(ぼうとく)する行為であり、民族差別・排外主義にほかならず、『いかなる差別も許さない』とうたった都の人権尊重条例の理念と相容れない」と批判。

 朝鮮総聯東京都本部の梁春植(リャンチュンシク)副委員長は「世界各国でパンデミックに関連して外国人嫌悪に基づく暴力や差別が拡大している。朝鮮学校に通う子どもたちを高校無償化・幼保無償化から除外し、対朝鮮政策の人質にとる陰湿で狡猾な差別をやめるよう日本政府に強く要請する」と訴えた。

 韓国の市民団体「独立」からメッセージが寄せられた。「追悼碑の碑文に『アジアの平和打ちたてん』という言葉が刻まれている。歴史の正義を回復するための日韓市民の連帯は、善隣互恵の両国関係と東アジアの平和を切り開く礎になる」と呼びかけている。

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 群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人強制動員犠牲者の追悼碑について、設置期間の更新を不許可とした県の処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審で東京高裁は8月26日、一審の前橋地裁判決を覆し、「不許可処分は適法」とする不当判決を言い渡した。

 報告集会で弁護団長の角田(つのだ)義一元参院副議長は「怒りを通り越してあきれ果てた。静かに鎮座する追悼碑を県のブルドーザーがぶっ壊す―そんなことが許されるか」と声を荒らげた。

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