2021年10月01日 1692号

【みるよむ(598) 2021年9月18日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの表現の自由を守ろう−テレビ局を破壊 SNSも規制−】

 イラクでは、表現の自由に対する攻撃が続いている。2021年8月、サナテレビは市民の立場に立つメディアとして表現の自由侵害の問題を取り上げた。

 2019年10月市民蜂起で、汚職、社会サービスの破壊、暴力支配に反対する闘いが広がり、多くの市民が長期にわたって抗議デモや集会などを続けた。これに対して政府、権力者は暴力的な弾圧を進めた。

 まず、政府の不正をあばき抗議する市民、マスコミ関係者を誘拐、殺害した。画面は、治安部隊や宗派私兵に殺害された活動家、ジャーナリストの写真を映し出す。バグダッド・タハリール広場に集まる市民への宗派私兵の脅迫文、添えられた弾丸も出てくる。

 治安部隊は、少なくとも3つのテレビ局を襲撃。その現場映像も登場する。むき出しの暴力で情報を出させないようにしている。

番組内容に直接介入

 さらに、政府の通信メディア委員会は、権力者にとって都合の悪い内容を放映させないための規定を作り、テレビの番組内容に直接介入している。最高裁判所所長の下に全国治安局や内務省で構成した委員会がSNSの内容も規制している。

 規制の中身は、政府に都合の悪い内容の文書は取り扱うことを許さず、「政府の文書が正確であると証明をするのは、裁判と捜査機関だけの責任だ」というものだ。権力者がどれほどあくどく情報を支配統制しているかが分かる。

 日本の安倍・菅政権による情報統制の姿勢や考え方とまったく同じだ。

 政府が表現の自由を抑え込み自らに都合のいい情報だけを流そうとするのは、市民、労働者が汚職や失業の増大に反対する闘いを進めているからだ。サナテレビは、今回のような映像を発信することによって、闘いを強め表現の自由を守ろうと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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