2021年10月08日 1693号

【たんぽぽのように(20) 難民と特別寄与者 李真革】

 去る8月、米軍が撤退しタリバンが権力を握ることによって、韓国政府の活動を支援していたアフガニスタン人とその家族の390人が劇的にアフガニスタンを脱出して韓国に到着した。この390人は、韓国軍を補助し韓国大使館や病院などで勤務した人々で、10歳未満が180人にものぼる。

 彼らは「難民」ではなく「特別寄与者」という地位を与えられた。今は短期ビザの発給だが、後に長期在留ビザに変更される予定だ。もし韓国での定住を希望すれば、「人道的特別在留資格」や永住権の付与も検討しているといわれる。人道的在留の許可とは、難民としては認めないが「準難民の地位」を与える新しい制度を作ることだ。

 2018年5月、ビザがなくとも入国可能な済州特別自治道にイエメン人の500人が入ったときと比較される。当時はキリスト教勢力によってイスラモフォビア(イスラム恐怖症)が強まり、政府は厳格な審査を経て「虚偽難民」を選別するともした。難民受け入れに反対する市民たちが連日集会を開いた。結局、済州島に入ったイエメン人の中で難民の地位を認められたのは、ジャーナリスト出身の2人だけだった。

 韓国は2013年から、難民法により難民審査及び難民支援政策を展開している。しかし、難民として認定を受ける割合は2%未満で、国連加盟国の平均38%にも大きく及ばない。現在、韓国政府は「北離脱民」への支援と政策を優先するので、他の難民のための予算確保は困難となっている。

 1951年難民条約によれば、難民の要件は「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」ことだ。

 韓国政府は、特別寄与者と規定された補助者以外の難民の受け入れ計画はないとした。だが、彼らが難民ではないとすると、一体誰が難民に該当するだろうか。特別の寄与がない人は難民にもなれないのか。難民問題が再び議論になるのを避け、特別寄与者という新造語まで造ったが、今こそ議論が必要な時期ではないか。

 作戦名「ミラクル」を成功させた韓国軍の作戦遂行能力を賞賛し、成長した韓国の国力を誇っているが、より重要なのは、難民のように切迫した境遇にいる人々をどのように接するかではないかと思う。 (筆者は市民活動家、京都在住)
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