2021年10月15日 1694号

【2021年10月2日配信 イラク平和テレビ局in Japan ヤジディ教徒への正義と補償を要求する−ジェノサイドを繰り広げたISISに処罰を−】

 イラクのクルド人の中にいるヤジディ教徒は、ISIS(いわゆる「イスラム国」)の暴力支配によって迫害され、住み家を追われ、命を奪われてきた。2021年8月、サナテレビは特に大きな被害を受けてきた女性たちにインタビューし、正義と補償を要求する声を伝えた。

 ISISはヤジディ教徒へのジェノサイドを繰り広げた。同教徒の人口は推定55万人。うち殺害された人が1293人、行方不明2889人、住み家を追われた人たちは36万人で、イラク国外に逃れた難民が10万人以上という。特に女性はレイプの被害を受け、奴隷市場に売られた場合も。今も「ヤジディ教徒は絶滅の危機にある」という状況だ。

 サナテレビは、ISISから逃れた3人の若いヤジディ教徒女性に直接インタビューを行った。

 ファイアさんは、誘拐され人身売買された女性たちへの正義と補償を主張する。いまだ収容所で暮らす女性らがまともな住居に住めるようにし、苦しみから解放されることを要求している。

 スザンさんは「学校の勉強を終了したい」と訴える。学校に通えなくなったが、政府は学業への復帰のために何の対策も取っていない。

 ファザさんはISISの支配下で5年間も暮らした。「安全、教育がほしい」と、ひどい状況を政府が無視していることを告発する。

犯罪者を裁け

 ヤジディ教の団体理事のスザン・イスマイルさんは「道義上も補償を受ける権利がある。求めているのは、正義と、ISISの犯罪者が裁かれること」と訴える。当然のことだ。

 イラクでは、ヤジディ教徒のような社会的少数者が迫害を受けても政府は何の救済もしていない。サナテレビは、こうした状況を広く知らせ、政府にISISの犯罪者の処罰と被害者への補償をさせようと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

   
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