2021年10月27日 1696号

【みるよむ(601) 2021年10月16日配信:イラク平和テレビ局in Japan フェイスブックで分断と扇動 ―電子部隊の世論支配を許さない―】

 イラクでもスマートフォンは広く使われ、フェイスブックやツイッターが普及している。若者がスマホを持ち歩く姿は当たり前だ。これに対し、権力者は電子部隊を作り、ネット情報を利用することで市民の要求を抑圧している。2021年8月、サナテレビはこの問題を取り上げた。

 電子部隊を創設したのは占領初期に権力に就いていたイスラム主義政党のダーワ党だ。電子部隊は2010年にフェイスブックで活動を開始。自分たちに反対するテレビ局のジャーナリストを「脅迫し粛清し殺す」ために活用した。さらに、政府に批判的な政治家を「米国大使館やイスラエルの手先」「(フセイン前政権の)バース党員」と攻撃し、選挙の時には対立候補の偽物の手紙を流して落選させようとした。

 イラクでは失業と貧困、社会サービスの切り捨てに抗議する抗議行動がひろがり、市民蜂起は政府を大きく揺さぶった。電子部隊は市民蜂起の特定の人物を標的に人びとを扇動して攻撃させ、命を奪った。

 電子部隊は、イラン・イスラム共和国に支援され作戦を展開している。1人でいくつものフェイク(偽物)・アカウントを持ち、ツイートすると、1時間に100本投稿したことと同じになる。そんなアカウントは2万以上あるという。

選挙に利用は世界共通

 電子部隊を最も活用している勢力の1つがムクタダ・アルサドルの「人民運動」だ。直近の総選挙で、獲得議席第1位に躍り出たのがこのサドル派だ。

 こうしたやり口は、トランプ前大統領を思い出させる。また、自民党がフェイク情報を使ったネット選挙キャンペーンを強めていることも暴かれている。決して他人事ではない。

 サナテレビはこの問題を社会に明らかにし、不当な世論支配と弾圧に反対しようと呼びかける。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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