2021年11月26日 1700号

【学びとたくさんの出会い/「久保敬先生講演会」/生き抜く世の中ではなく、生き合う世の中に 東京 北区・足立区】

 11月3日に「久保敬先生講演会」を開催しました。遠くは鹿児島県や宮崎県からもZOOM参加があり、二つの会場と合わせて参加者は約50人でした。

 久保先生はこんなお話をされました――

 学びとは何か。誰のための教育なのか。問い直したい。子どもたちのしんどさが見えていないと分かった時に見えてきた、ありのままの自分に向き合い“共に生きる”ことの意味が。

 子どもの本質は昔も今も変わらない。変わったのは子どもを取り巻く環境。遊びも「商品」化され、子どもも消費者のひとりとなった。「今だけ、カネだけ、自分だけ」が子どもをゆがめている。教育が市場として位置づけられてよいのか。

 子どもの思いや願いを聴いているだろうか。一人ひとり「違う」存在、かかわり合いの中で生き、自ら変わる力をもっている。大阪市は不登校問題を学力問題に変えようとしている、あなたが頑張っていないからだと。不安をもっている子どもたちを抱きしめたい。

 生き抜く世の中ではなく、生き合う世の中にしたい。お互いが学び合う、教職員が自己解放され、思考停止しない現場。息を抜いて生き合う学校になったらいい。教育だけでなく、僕らの生活をどうしていくのかの問題。7時間45分働いても子どもに迷惑がかからないシステムをどうつくるか。働き方も含めて新自由主義の中で僕らがどうしていくのかの問題だと思う。

 提言以来、父母や子どもたちからたくさんの応援メッセージが。地域から「こんな校長先生がいて誇らしい」と言っていただき、励まされている。――

 感想を紹介します。

◇ 人は一人一人違うのが当たり前。その人の成育歴や生活環境などを把握して接しなければ個人の人権を尊重したことになり得ない。個人を大切にできなければより良い社会は築けない。全ての物事に言えることです。資本主義の考え方と百八十度違いますから、現状を変えるには、彼らとの気の遠くなりそうな話し合いが必要です。(看護師)

◇ 「教育を自分たちの手に取り戻す」という言葉に大変共感しました。講演後に参加者の皆さんが対話し、自分たちにできることを考え、行動に移すことで、今回のお話が生かされるのではないか、と思いました。(教員)

(11・3『久保敬先生講演会』実行委員会 高瀬幸子)

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