2021年12月03日 1701号

【1701号主張 地域から岸田政権と対決 命とくらし守る行動へ】

コロナに乗じ軍備増強

 岸田政権は、11月12日にコロナ対策の「取組の全体像」、19日にコロナ禍の長期化を受けた「経済対策」を決定した。それは、市民の命とくらしに向けられたものではなく、安倍・菅政権を継承する戦争と新自由主義推進への「対策」だ。

 「全体像」は、入院制限を撤回するどころか、自宅療養者の増大(第5波の1・3倍、23万人)を見込み、一般診療延期等を明記。臨時病院は入院制限前提で患者全員入院のためではない。保健所体制強化でなく「かかりつけ医」丸投げ、感染拡大時には積極的疫学調査縮小など、病床削減を進める地域医療構想―医療費削減政策の継続強化だ。

 「経済対策」は、55・7兆円で過去最大規模とされるが、うち約24兆円が「成長戦略」中心で軍事費まで含まれる。医療体制強化への財政支出が貧弱なことに加え、生活困窮世帯給付金は単身で年収100万円を超えると支給されない。雇用調整助成金の特例も段階的に縮小するなど、困窮する市民と零細事業者への給付はあまりに不十分だ。

 コロナに乗じて「国家の安全保障」と称する軍事費7700億円を潜り込ませ、ミサイル、哨戒機などの兵器を追加爆買いする。21年度当初予算と合わせれば、軍事費は6兆円を上回る。

 今必要なのは「国家」を守るための軍拡ではない。市民の命とくらしを守る財政支出と保障だ。

市民の要求に押される

 岸田政権は「全体像」で、都道府県判断による感染拡大時の無症状者への無料検査実施を初めて打ち出さざるを得なかった。これは市民の闘いに押されたものだ。

 また、10月9日、関西広域連合長の仁坂和歌山県知事は岸田首相と面談し、コロナ第6波を見すえた提言を手渡した。注目すべきは、明確に自宅療養原則は誤りとして検査、保健所、医療体制の強化などを提言したことだ。市民の闘いで、憲法の生存権や地方自治を基準にした政府との対立軸が鮮明になってきたのだ。

 これを足がかりに「いつでも誰でも無料のPCR検査」そして医療体制拡充を実現させよう。給付金、支援金等をすべての市民や零細事業者などのためのものとすることも待ったなしだ。

抜本的な政策転換へ

 市民は、軍事費を削減し、命とくらし、人権を守る予算の増額こそ求めている。

 11月27日〜12月5日「沖縄・韓国・アメリカ民衆を結び東アジアに平和を! スピーキングツアー」が全国9会場で開催される。沖縄・南西諸島の新基地建設・強化を阻止する闘いが全国に発信される。

 新基地や大軍拡を阻むこの取り組みと、医療・生活保障を求める声をむすぼう。自治体への要請行動と一体で、岸田政権に戦争・新自由主義政策の抜本的転換を迫ろう。

 (11月21日)
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