2021年12月10日 1702号

【ZENKOスピーキングツアー 広島集会 残された遺骨は家族の元へ 知事の不承認は大歓迎/沖縄戦遺骨収集ボランティア ガマフヤー代表 具志堅隆松(ぐしけんたかまつ)さん】

 私たちが他の遺骨収集の団体・個人と違うのは、収容した遺骨を家族の元へ返すことを目的にしていることです。

 日本政府は軍官民共生≠フ方針を打ち出し、沖縄戦では兵隊よりも住民の犠牲が多くなりました。とりわけ学生などの犠牲の素地になったのは皇民化教育でした。6月23日慰霊の日の平和教育で私は、子どもたちに「逃げることは自然で、とても大事なことだよ」と伝えています。沖縄戦の時に逃げる選択をさせなかったのが教育でした。それは今の時代にも当てはまっています。自分の身体や心が傷つけられても、逃げるということが難しくなっているからです。

 厚生労働省が遺骨のDNA鑑定対象地域を拡大したので、ようやく日本政府が遺族に遺骨を返還する方向に動き出したという意味で、評価していました。

 そんな中で出てきたのが、辺野古の新基地建設で軟弱地盤を埋めるために沖縄県内8か所から土砂を採取するという防衛省の計画でした。私たちが遺骨収集している沖縄南部の糸満と八重瀬も含まれていたので、防衛省へ要請に行きましたが、「情報を共有する」と言うばかり。「みなさんは、人の道に外れたことをしようとしていますよ」とキツイ言葉を使いましたが、返事はありませんでした。

 それで、人びとにこのことを知らせ、国の考えを改めさせるために3月、6月、8月とハンガーストライキをしました。予想以上にたくさんの人が来てくれ、ご遺族の人たちと話をし、私が考えていたことは間違っていなかったことに自信を持ちました。

県外111自治体で意見書

 遺骨土砂を使わないでほしいという政府への意見書を、地方議会から上げてくださいという要請を、全国へ発信しました。返事があり、県外でこれまでに採択されたのは111自治体です。採択されなかったのは、ほとんど手続き論でした。未採択の自治体についても、ぜひ居住者の方から声を上げていただきたいです。

 (遺骨土砂の使用が許されないことにも触れた沖縄県知事の設計変更申請の不承認は)これまで、ともに沖縄県民である私たちと採石業者との間で対立するよう描かれてきましたが、これで本当に対立しているのは国だとハッキリしました。私たちが求めてきた不承認の判断をしてくれたことを大歓迎しています。

(11月27日、4面に関連記事)

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