2021年12月10日 1702号

【沖縄辺野古 玉城デニー知事 設計変更申請を不承認 全国から支持・連帯を 政府は工事即時中止、対抗措置とるな】

 ついに11月25日、玉城デニー沖縄県知事は、名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局が地盤改良工事のために申請していた設計変更申請を「調査が不十分」などとして不承認とした。

強行変えぬ政府

 県が承認しないことで、大浦湾側の埋め立て海域の軟弱地盤の改良工事は着手できなくなる。法の支配に基づく民主的国家であれば、辺野古新基地建設工事はただちに中止するだろう。しかし、この自公政権は違う。



 県の不承認を受け、岸信夫防衛相は25日、「沖縄防衛局で県側から不承認とされた理由について、しっかりと精査していくことになる」と述べ、対抗策を講じる考えを示した。松野博一官房長官は同日の会見で「政府としてのコメントは差し控える」としたものの、「辺野古が唯一の解決策」と繰り返し、新基地建設推進姿勢を変えない。

 秋田県のイージス・アショア配備も佐賀県のオスプレイ配備も、県民や知事・市長が反対したことで止めたが、沖縄県の民意は一顧だにしない。地方自治を無視し、公有水面埋立法さえも蔑(ないがし)ろにする国は法治国家とは言えない。

 県の不承認に対し、国はなお工事を続け、早期に対抗措置を取る動きだ。行政不服審査法に基づくとする審査請求や執行停止、地方自治法を悪用した県への是正指示などが想定される。県は国の対抗措置に一歩も退かない構えだ。訴訟に移行することは間違いない。

現場の闘いの力

 沖縄防衛局が県に設計変更を申請した2020年4月から1年7か月。全国最悪レベルのコロナ感染が県民を襲う中、ゲート前の行動をはじめ新基地建設阻止の闘いは厳しい局面に立たされ続けた。感染対策として「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」決定でゲート前でも行動は自粛≠ウれていた。

 それでも市民の有志は工事の監視と阻止のため、緊急事態宣言期間中も自主的に連日現地に通い続けた。11月1日、ようやく緊急事態宣言は解除されたが、今度は軽石が辺野古・大浦湾にも漂着し抗議船も欠航せざるを得なかった。埋め立てありきの防衛局は、軽石が漂着しても工事を中断したのは11月9日と10日の2日間だけだった。

 今回、知事による不承認を導き出したものとして、コロナ禍であろうと現場で不屈の精神で闘い続けた市民の力がある。ひとつひとつの小さな取り組みの積み重ねが不承認を後押しした。

 ベルトコンベアが導入されても数人で牛歩戦術を続けている本部町塩川港の闘いがある。琉球セメントの安和桟橋では、朝から夜8時までのダンプ搬入に声を上げ、運転手に「勇気をもって拒否を」と訴える。

 米軍キャンプ・シュワブゲート前では、1日3回の土砂搬入阻止行動。ダンプによる土砂搬入を黙って見過ごすわけにはいかいない。たとえ30分でも40分でも工事を遅らせる。これが辺野古新基地建設工事を阻んできた根底にある。ダンプが構内に入ってもシュプレヒコールが続く。「違法な工事を直ちに止めろ」「防衛局は沖縄から出ていけ」

 ゲート前の行動は、工事開始から7年を迎える。沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんは「毎日辺野古に来ないと病気になっちゃう」と語る。那覇から連日通い続ける過酷な生活がいつしか日常になり、闘いの現場にいることが最も精神的には落ち着くと言う。

不承認支援を広げる

 来年1月23日には天下分け目≠フ名護市長選、9月に名護市議選、11月には知事選が待ち構える。

 「オール沖縄会議」は12月3日、県庁前の県民広場で「『設計変更不承認』を支持・支援する県民集会」を開催、デモ行進を行う。翌4日には辺野古ゲート前で「県民大行動」を配置し、県内各地域とのブルーアクション方式のスタンディングを呼びかける。

 全国からこの沖縄の闘いに連帯し、設計変更不承認を支援する声を発信、拡大していくことが何より求められる。  (N)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS