2021年12月10日 1702号

【ZENKO中央要請行動 原発再稼働やめろ 避難者追い出しは許さない】

 11月26日の中央要請行動では、汚染水、再稼働や事故避難者問題でも当該省庁に対する要請が行われた。

汚染水説明会に応じさせる 避難計画の検証も要求

 資源エネルギー庁に汚染水の海洋放出撤回を求める請願では、「放射能は原則、閉じ込めるべき。薄めて流すなどとんでもない。撤回しろ」と要請した。

 同庁の担当者は「トリチウムは自然界にも存在し、世界中で流されており、健康被害は確認されていない。今までに福島県など約400か所の自治体や大学の出前授業などで説明会を行った。全国津々浦々の人にも、流すことは安全と知っていただきたい」と言う。そこで「放出が心配な市民の住む私たちの大阪で説明会を開いてほしい」「横浜などでも説明会を行ってください」と要求し、「行きます」と回答を得た。公聴会を各地で開き、徹底的に討議し撤回させていく。

 再稼働反対の請願では、原子力規制庁に対してまず福島みずほ議員が、水戸地裁が東海第2原発の避難計画不備を認めて再稼動の差し止めを命じたことを指摘。私たちは「避難計画の責任は誰が持つのか? 規制庁の責任は?」と追及した。

 規制庁は「避難計画がIAEA(国際原子力機関)の避難指針に逸脱していないかチェックする」「避難計画に実効性があるかどうかは内閣府が自治体をチェックする。訓練を積み重ねる」と自らの責任を放棄する姿勢だ。「IAEAの指針が非現実的なことは福島事故でみんな知っている。原発から5キロ以遠の住民に自宅待機させる避難計画など誰も従わない。放射能が30キロを超えて流れてくるので、みんなすぐ逃げ出す。それを禁止する法律はない。自治体も実効性がないと分かっている」と、避難計画の検証を規制基準の対象にするよう要求した。

 今後は内閣府にも請願するとともに、この交渉の回答を自治体にぶつけ、避難計画は成り立たないことを表明させていく。

(ZENKO関電前プロジェクト・秋野恭子)


判断回避の財務省に迫る/福島県参加の協議へ足がかり

 財務省は、前回中央行動(6/11)の要請で約束した福島県への問い合わせ(“親族を巻き込んだ退去圧力”“代替住宅確保の放棄”)の結果について、「県は『親族に協力要請したまで』『住宅相談会や物件紹介をしている』と答えた。国として受け止めるしかない」という返答。県の言い逃れと被害者・避難者の主張に大きなズレがあることは認め、「この場に福島県がいればいいのですが」と、困惑の一面も見せた。

 「事情のある世帯」について2019年4月以降も継続入居を検討するとの国・県の取り決めの実態は、生活保護世帯だけ。財務省は「県からそれしか示されなかった」と責任転嫁する。ところが、入手した財務省と福島県の2020年2月10日の協議文書で、県は「今年度中の退去は困難」な世帯として生保以外に38世帯を挙げている。「これは『事情のある世帯』ではないか」と問うと、「退去困難世帯が事情ある世帯かどうかはわからない」。避難者の生活実態を把握していないお粗末さを露呈した。

 また、継続入居の使用許可を出した4世帯が昨年3月、福島県に提訴されたことについて「県は本人の意思を聞かず知らせず、勝手に使用許可申請を出し、国に家賃2倍相当額を支払い、損害賠償だと裁判に訴えている。提訴せず話し合ったらよかった」と矛盾を指摘すると、答えられない。

 住宅確保に向けた財務省の責任を追及すると、追い出し訴訟を起こす意思はないことを改めて表明する一方、「新しい施策は財務省だけでは判断できない。復興庁、福島県にも入っていただき、前向きに意見交換したい」と提案した。

 同席した福島みずほ参院議員は「財務省・復興庁・福島県・東京都4者で知恵を出してほしい。職を失い非正規しか職がない避難者に代替住居を提供したからと言って非難する人はいない」と話し合い解決を求めた。

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