2021年12月17日 1703号

【第4回避難者住宅追い出し訴訟/支離滅裂な福島県の反論、次回から論戦】

 住宅追い出し訴訟第4回口頭弁論が12月3日、福島地裁で開かれた。

 避難者側の柳原敏夫弁護士は「県の反論には、国際人権法に関わる主張に対し重要な誤読がある」と指摘。原発避難者の居住権を明記する国内法が作られていないことを問題にしていることを改めて強調した。

 2017年3月の住宅提供終了に関して、大口昭彦弁護士は報告集会で「福島県が追い出しを訴えるのはおかしい。2017年以降に福島県が財務省に使用許可申請したのは避難者が住み続けられることを保全するためだった。国に代わって福島県が追い出しをするという理屈は全く通らない」と批判した。

 裁判所前集会で、ひだんれん(福島原発事故被害者団体連絡会)大河原さき事務局長は「11月25日の県交渉では国家公務員宿舎入居者の親族宅を訪問をしないよう確認した。この裁判を福島県のあり方を正す裁判闘争としたい」。かながわ訴訟原告団長の村田弘さんは「県はあらゆる手段を使って追い出して避難者住宅問題を終わらせようとしている。国と県の間違ったやり方を変えさせる最先端の闘いだ」とエールを送った。

 報告集会には首都圏に加え、福島県内の伊達市、福島市、郡山市、いわき市、さらに仙台市、米沢市などから約20人が参加。住宅問題を福島県・周辺に拡げるうえで大切な人のつながりが生まれる集会となった。

 福島現地で迎え入れの準備に奔走する、子ども脱被ばく裁判の今野寿美雄原告団長は「逃げる気満々の福島県を反訴した意義は大きい」。福島原発被災者フォーラム山形・福島の武田徹代表は「みんなで議論していけるように、主張や争点をわかりやすく図表にでもしてもらいたい」と注文も。京都訴訟原告共同代表・福島敦子さんはZoomで連帯メッセージを寄せた。

 次回第5回口頭弁論期日は来年2月4日となった。

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