2021年12月24日 1704号

【「君が代不起立」再任用拒否 国家賠償裁判 大阪高裁で逆転勝利 おかしいと声を上げ維新支配に痛打】

 大阪高裁は12月9日、大阪府立高校元教員・梅原聡さんが「君が代不起立」による再任用拒否に対し大阪府に損害賠償を求めた裁判の控訴審で、不当棄却の一審判決を変更し損害賠償等315万円を支払えとする逆転勝利判決を言い渡した。

 判決後、退廷する梅原さんに支援者が温かい拍手を送る。維新橋下府政以来の(君が代不起立者は)辞めさせる、再任用は認めない≠ニいう激しい攻撃に抗してきた梅原さんはじめ不起立者たち、所属組合の教職員なかまユニオンや「大阪ネット」活動など支援してきた市民の大きな勝利だ。

 2017年、梅原さんは定年後の再任用を希望したが、大阪府教委は「君が代」起立斉唱を含む職務命令に従うかどうかを問い、梅原さんが「思想信条にかかわるそうした質問には、就職する生徒にも答えないよう指導している」と意向確認に応じなかったことで、再任用を拒否。いわば踏み絵≠ナある意向確認とそれを理由とした不採用は思想・良心の自由を侵害し違憲・違法だ、と府に損害賠償を求めていた。

 判決は再任用審査経過等を詳細に検証。再任用率が99・45〜99・92%とほぼ全員採用の実情も踏まえ、減給処分以上で再任用された例がある一方、より軽い戒告処分の梅原さんが不採用となったことなどをあげ、「府教委の判断は、客観的合理性、社会的相当性を著しく欠く裁量権の逸脱、濫用(らんよう)にあたり、違法」と断じ、損害賠償責任を負うとした。意向確認の違憲性は認めなかったが、「君が代」処分裁判の中で、府教委の裁量権を巡り違法とした意義は重大だ。

 梅原さんは「とてもうれしい。ここまでこれたのもみなさんのおかげ。『君が代』にとどまらず、おかしいことはおかしいと声を上げようと、みんなに届けば」と語る。報告集会でも「勝利判決の意義を広げよう」と声が上がった。

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