2021年12月31日・2022年1月7日 1705号

【明日をつくるなかまユニオン<第3回>/自分の存在を大切に 団結して行動を起こそう/近藤豆腐店パワハラ争議】

 なかまユニオンでも、パワハラやセクハラ問題への対応が増えている。奈良県の老舗、有限会社近藤豆腐店で事件は起きた。

 2016年3月から働いてきたAさんが、18年11月、19年3月に男性従業員2人からセクシャル・ハラスメントを受けた。事実を訴えても会社は真剣に対応せず、日々の勤務に危険と不安を感じたAさんは、力になってくれる労働組合をインターネットで探し、なかまユニオンにたどり着いた。

 すぐになかまユニオンに加入し、会社と団体交渉を行って合意に至り、19年12月に労使協定が結ばれた。その内容は、▽セクシャル・ハラスメントを防止する▽Aさんの勤務形態を変えない▽労働条件に関しては労使が誠実に協議し合意の上実施する―など。Aさんは再び安心して働くことができるようになった。

地労委へ救済申し立て

 ところが20年10月、社長と工場長がAさんを1時間以上もパワハラで責め立てた。セクハラの共犯だった男性がうつ状態で会社を休んだのは、Aさんのせいだから部署を異動しろとの内容だ。しかも、異動先はセクハラ主犯格の男性との接触が増える部署だった。

 Aさんはショックで翌日から寝込み、心療内科に通院することとなった。その後、会社と団体交渉を3回行ったが、謝罪もなく異動も撤回されなかった。

 Aさんはセクハラ主犯格のいる部署へ出勤することを考えるだけで体調が悪くなり、出勤不能に。会社は団体交渉拒否のまま、休業期間が切れることを理由に21年8月5日、一方的に退職通知を送ってきた。

 会社が、労使協定を無視し、団体交渉を拒否しAさんに対して不利益取り扱いをしたので、その不当労働行為の是正を求めて奈良県労働委員会に救済申し立て。第1回調査が8月17日、第2回が10月11日に行われた。

仲間からの勇気で勝利へ

 労働委員会での調査期日に合わせ、他のなかまユニオン組合員と奈良県内での街頭宣伝に取り組んでいる。チラシを受け取った人から「え! 近藤豆腐店? 何があったの?」「こんな無茶苦茶なことを平気でするのか」の声もあり、支援の広がりに手応えを感じる。

 Aさんは、他の争議に参加して「会社の不条理な対応に泣き寝入りする必要はまったくない。会社にひどい扱いを受けているのに抗議の声を上げないと必要以上に自分を卑下してしまう」と確信を強めた。ユニオンの仲間から得られた実感で、自ら抗議行動に立ち上がるようになった。

 闘ってきたAさんだからこそ、他の労働者に伝えたいことがある。「自分が不当に扱われたら、声を上げよう! 不当なことに対して怒ろう! ということです。ぜひ、一人でも多くの労働者に、自分の存在を大切にして団結して行動を起こす必要性を伝えたい」

 Aさんの闘いは、いよいよ正念場を迎える。

女性への権利侵害許すな

 この事件は、職場のセクハラ問題を労働組合が解決した1年後に、排斥を受けている案件です。

 Aさんは19年になかまユニオンに加入、会社と4回の団体交渉を行い画期的な協定書を結びました。

 ところが20年10月、セクハラ加害者の従犯が会社を欠勤し、事態が一変します。社長は組合員を一方的に非難し、組合を無視して配転を命じ、その配転先にセクハラ加害者の主犯がいたことで組合員は出勤不能になってしまいました。

 直ちに組合として抗議し、団体交渉を申し入れましたが、会社は配転を撤回せず、休職期間切れで退職ということになりました。加害者の主犯との接点のない元の製造部であれば職場復帰できるという診断書が出ていたので、会社の対応は極めて不当だと言わざるを得ません。

 協定無視への謝罪や組合員であるがゆえの不当配転の撤回を求めて、労働委員会に救済を申し立てました。

 一般消費者に近藤豆腐店の不当な対応を明らかにすべく、奈良駅、天理駅の駅頭や豆腐を販売している生駒駅前のスーパーなどで宣伝行動を継続しています。

 組合員の不当な排除、女性の権利侵害を許さないため、この闘いにご支援をお願いします。

(なかまユニオン執行委員長・井手窪啓一)

 
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