2021年12月31日・2022年1月7日 1705号

【ノー!合祀(ハプサ)控訴審 2年ぶりの口頭弁論/司法と靖国の癒着の構造が露呈】

 旧日本軍の韓国人軍人軍属の遺族が靖国神社への無断合祀を取り消すよう求めたノー!ハプサ(NO!合祀)第2次訴訟の控訴審。20年1月以来およそ2年ぶりとなる第2回口頭弁論が12月16日、東京高裁で開かれた。

 冒頭、大口昭彦弁護士が訴訟進行について意見を述べた。「原告側が事実に基づき詳細に法的主張を行っているのに、被告側は認否をごく簡単に済ませ、具体的な反論は全くない」「裁判所も被告に厳しく求釈明せず、意向打診するのみ。消極的な訴訟指揮が被告の傲岸不遜な訴訟態度にお墨付きを与えている」

 立証計画の提出にあたっても、「被告が事実の認否すらしないのでは問題は深化しない。裁判所は被告にしかるべき見解を求めよ」と迫る。裁判長が「民事訴訟法に照らし判断。最終的には判決に示される」と言い逃れすると、大口弁護士は「被告から反論がなければ原告勝訴の判決を出すのか。出さないだろう。被告は何の不利益も受けていない。裁判長の食言(約束破り)になる」と一喝した。

 ここで、何を血迷ったか被告靖国神社の代理人が立ち上がり、「失礼な言い方だ」と裁判長を擁護。裁判所と靖国神社の癒着の構造がはしなくも露呈した。

 浅野史生弁護士は政教分離原則と信教の自由を論じた準備書面を提出。合祀が国と靖国神社一体で長期・組織的・大規模に進められたことを明らかにした。

 報告集会は韓国の原告とオンラインで結ぶ。李熙子(イヒジャ)さんからは「戦争は家族の平和を壊し、人間の尊厳を奪う。命の大切さを守るため戦争はしてはいけない」と切なる訴えがあった。

 次回口頭弁論はくしくも三・一独立運動103周年の3月1日。申請した6人の証人(韓国から国際法学者の趙時顯(チョウシヒョン)さんら、日本から近現代史学者の庵逧(あんざこ)由香さんら)の採否が決まる重要な期日となる。

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