2022年03月04日 1713号

【1713号主張 命よりカネと軍事の岸田政権/地域から命・くらし守る】

命・くらし顧みない予算

 2022年度政府予算案が2月22日、衆院本会議で可決され参院に送られた。

 新型コロナ感染での「自宅療養者」は57万人(2/16)と急増し、自宅死を含め連日200人を超える死者が出ているにもかかわらず、予算案には検査・医療、保健所などの抜本的な拡充につながる内容は盛り込まれていない。それどころか、病床数を削減する地域医療構想をなお継続し、社会保障費では高齢化に伴う自然増分を2200億円削減する。コロナ禍の下で75歳以上の医療費の窓口負担を10月以降1割から2倍化。コロナに直撃された保険医療を支える診療報酬は、PCR検査の報酬も大はば引き下げのまま、全体で0・94%引き下げられる。

 命よりカネの新自由主義路線をやめさせ、社会保障を拡充することが必要だ。

軍事費削り命に回せ

 軍事費は21年度補正予算と合わせて6・2兆円が計上されている。内訳を見れば、沖縄の辺野古新基地建設(普天間飛行場の「移設」)に1202億円、空母搭載可能なステルス戦闘機の調達に510億円、新兵器開発2912億円などが並ぶ。東アジアの軍事緊張を高める大軍拡と敵基地攻撃能力の既成事実化を許してはならない。

 また、大企業への巨大投資分野であるデジタル関連に過去最大の約1・2兆円を計上。新たな儲け先の開拓を後押しし、万博や国土強靭化の名の大規模開発、原発関連予算も拡大する。

 一方、コロナ禍でも過去最高の内部留保484兆円と利益を貯めこんだ大企業への不公平税制是正や応分の課税は検討もされない。さらに、日本の富豪上位50人は20年から21年に資産を48%増やし、その資産合計は約27兆円に上る。岸田首相が当初口にしていた富裕層への金融所得課税の強化は、期限もない先送り≠フままだ。

 軍事費を削減し、大企業と富裕層への課税を強化して、コロナ対策をはじめ命と生活を守る社会保障を充実させなければならない。この転換によって、個人消費の拡大、経済状況の改善もはじめて可能となる。

政策転換へ行動を

 こうした根本的政策転換を実現するために、軍事費削って命とくらしに回せと要求し、市民の行動を各地で強めることが重要だ。

 沖縄・韓国・米国の平和を求める人びとと共に、辺野古新基地建設を止めるZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)署名、朝鮮半島平和宣言賛同署名、憲法改悪を許さない全国署名を広げ、岸田政権の戦争・改憲路線を止めよう。新型コロナから命を守る臨時医療施設の増設、大規模・定期的な無料PCR検査や保健所、医療態勢の拡充、生きていくための生活補償を緊急に自治体へ要請しよう。

 (2月22日)
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