2022年03月25日 1716号

【たんぽぽのように(23) 大統領選挙結果を考える 李真革】

 歴代最悪の大統領選挙≠ニいう批判の中でも、投票率が77・1%に達した第20代大統領選挙が終わった。24万票余という僅差で野党「国民の力」の尹錫悦(ユンソギョル)候補が当選した。ろうそく集会と朴槿恵(パククネ)大統領の弾劾、文在寅(ムンジェイン)氏の大統領当選と「共に民主党」の総選挙圧勝を見ながら、わずか5年で政権が変わると予想した人はほとんどいなかっただろう。

 予想外の結果を分析するために、年齢別と性別の出口調査結果を見てみよう。

 5年前、文大統領は20代と30代から性別を問わず高い支持を得たが、今回は20代の男性が尹錫悦候補への支持となり、30代は投票率自体が落ちた。反面、保守性向が強い60―70代の投票率が上がった。民主党の李在明(イジェミョン)候補に最も多くの支持を送ったのは、40代と、20代の女性層だった。民主化世代と呼ばれる「86世代」(1980年代に学生だった60年代生まれ)よりも今進歩性向が強いのは、その下の40代というのが最近の選挙では事実としてよく表れている。フェミニズムが重要イシューになった今回の選挙で、20―30代の女性たちは、民主党だけでなく進歩政党である「正義党」にも最も多くの支持を送った。

 この投票結果を考えるために、過去5年間の文大統領と民主党が掲げた公約についてしばらく見てみよう。

 セウォル号惨事の真相究明、差別禁止法の制定、国家保安法の廃止、最低賃金1万ウォン(約950円)、国際労働機構(ILO)の勧告に応じる労働法の改正、公共部門非正規の正規職化、教育改革、そして「フェミニスト大統領」等々。

 これらの約束は一体どれだけ実現されたのか!

 「世界不平等報告書2022」によると、韓国の上位10%の平均所得が下位50%平均の14倍で、フランス(7倍)、イタリア(8倍)の倍ほども大きな格差を示している。深刻化する経済的不平等の中で、世界最高の自殺率・老人貧困率・労災死亡率、その一方、世界最低の出生率などが今日の韓国をよく説明する。

 大統領弾劾という前代未聞の歴史を通じ、圧倒的な支持で大統領だけでなく国会議席の3分の2に近い議員を持った民主党。それが過去5年間、何をしたのかをよく見せた大統領選挙の結果だと思う。

 そして今何をなすべきか、私たちはすでに知っているのではないだろうか。

(筆者は市民活動家、京都在住)
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