2022年04月22日 1720号

【南西諸島軍事要塞化は許さない/ZENKOが現地を連帯訪問(下)/基地被害と闘い続ける奄美大島】

 奄美大島では、市民の反対を押し切り、2019年3月、陸上自衛隊の奄美駐屯地、瀬戸内分屯地が開設された。22年3月にはレーダー基地も完成し、電子戦部隊が配備される。

 海上自衛隊の奄美基地分遣隊と航空自衛隊の奄美大島分屯地基地と合わせ陸・海・空が一体となり、島全体が軍事要塞化している。瀬戸内分屯地では現在も弾薬庫の建設が進められている。山を削り、5本の地下トンネルを掘る計画だが、2本が完成し、4月から3本目の工事に入っている。

 2021年7月、奄美大島・徳之島は世界自然遺産として登録された。しかし、基地と豊かな自然は共存できない。この登録にあたっては紆余(うよ)曲折があった。日本政府は17年2月に基地予定地を外したバラバラの区域として推薦したが、国際自然保護連合(IUCN)は動植物を守る区域として一体的に指定ができないと、登録延期を勧告。

 また、IUCNの働きかけで、嘉徳(かとく)川が緩衝地帯となった。その上流には瀬戸内分屯地がある。21年3月、嘉徳川の弾薬庫の工事現場付近が白濁していることが判明した。防衛省に抗議したが、実際に濁っていた3月ではなく、「7月1日の水質が基準内であるため問題ない」と開き直った。奄美の自然環境を破壊する軍拡工事、軍事訓練は今すぐ止めなければいけない。

街頭行動や議会陳情も

 奄美大島の基地は山の上にあるため、市民の目からは見えない。しかし、沖縄の嘉手納・普天間基地からオスプレイが飛来し奄美大島で低空飛行訓練を行うなど騒音被害が急増している。昨年は週3日、夜も10時、11時まで訓練が行われた。度重なる苦情・抗議の結果、現在は、週2日となったが、訓練は続いている。

 市民らは、基地が完成してからも毎月第一金曜日の街頭行動を続けている。各定例議会には、「敵基地攻撃能力の保有を撤回すること」「辺野古に土砂搬出をしないようにすること」など様々なテーマで陳情書を挙げている。しかし、議会の構成は保守勢力が過半数を占めており、「国防は国の専権事項」として採択されない。

 辺野古新基地建設との関連では、奄美大島から土砂搬出の計画が立てられている。奄美大島と瀬戸内など西日本の7団体で構成される「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」は5月28・29日、鹿児島市内で総会を開く。南西諸島の軍事要塞化と辺野古への土砂搬出を許さない闘いが討議される。

 ロシアのウクライナ侵攻を機に、自公維新は改憲、核保有、軍事費2倍化など軍拡路線に前のめりだ。加えて、東アジアでの米中対立で、沖縄・南西諸島が戦場とされる危険性が高まっている。その際、真っ先に狙われるのが軍事基地の置かれる島々である。

 *   *   *

 5〜6月のZENKOスピーキングツアーは、自分たちの故郷を戦場にさせない現地の人びとの闘いと、平和を求める国際的な反戦運動を結ぶことで、東アジアの平和をつくる展望が切り拓いていきたい。

(ZENKO共同代表・田中拓真)

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《案内》東アジアに平和を!沖縄辺野古・南西諸島を戦場にするな! 2022ZENKOスピーキングツアー

◎滋賀集会
5月28日(土)14:00〜16:00 大津市勤労福祉センター4階 研修室
具志堅隆松さん(遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表)

◎東京集会
5月29日(日)13:30〜16:30 北区新町コミュニティアリーナ 第二ホール
和田香穂里さん(前西之表市議/戦争をさせない種子島の会会員)

◎神奈川集会
5月31日(火)18:30〜20:30 鶴見区水晶院 別館
藤井幸子さん(石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会事務局)

◎京都集会
6月1日(水)18:30〜20:30 京都教育文化センター103号室
楚南由香子さん(てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会 共同代表

◎北海道集会
6月2日(木)18:30〜20:30 かでる2.7 道民活動センター1010会議室
城村典文さん(戦争につながる自衛隊配備に反対する奄美ネット代表)

◎兵庫集会
6月3日(金)
18:30〜20:30 西宮勤労会館 第8会議室
宮城秋乃さん(チョウ類研究者)

◎広島集会
6月4日(土)14:00〜16:00 広島市まちづくり市民交流プラザ 4F研修室C
奥間政則さん(沖縄ドローンプロジェクト)

◎大阪集会
6月5日(日)13:30〜16:30 西区学働館 4Fメインホール
山城博治さん(沖縄平和運動センター顧問)

※ゲストスピーカーはオンライン講演を予定

主催;ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)
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