2022年05月13・20日 1723号

【「赤ちゃん産めない 手術できない」 大量退職の民営化市民病院 直営化求め市民が要請 滋賀・大津】

 大津市民病院の医師の大量退職が大問題になっている。今年2月頃から「外科」「消化器外科」「脳神経外科」「乳腺外科」「泌尿器科」などの医師が3月末に退職、あるいは順次退職していくことが地域ニュースで連日のように報道され始めた。その後もわかっているだけで「脳神経内科」「麻酔科」「放射線科」の医師も合わせ27人がすでに退職または今年度中に異動、退職するという。

 もともと市直営の市民病院は赤字を理由に2017年に独立行政法人化(=実質民営化)され、その2年後には産科や救急の医師が集団退職し、一時は救急医療の危機に。分べんは休止され、今も「赤ちゃんの産めない総合病院」のままだ。

 今回の医師大量退職には、病院側が「業績不振」を問題にして医師の一斉入れ替えを強要し、医師らがパワハラを訴えた背景がある。

 「平和と市民自治のまち大津をともにつくる会」は、当初から市民病院の民営化に反対、病院を市直営に戻す署名を1月から呼びかけていた。そこへ外科系の診療科閉鎖のニュースが飛び込んだのだ。4月の外科手術は無く、救急医療やコロナ対応にも影響が出ている。

 4月21日、住んでいるマンションを手分けして訪問し130筆など、急いで集めた第1次提出の署名886人分を携え、居ても立ってもいられない9人が市役所を訪問、要請。市民が直接申し入れたのは初めてだ。

 要請では「県都の中核病院で赤ちゃんが産めず外科手術ができないなんてありえない」「病院は市が正しく管理できている状況ではない。責任の所在があいまいすぎる」「医療に生産性を持ち込むこと自体が間違い。もうけではなく税金を投入し、市直営の病院に戻してほしい」と一人ひとりが発言。夫ががん手術を受け、主治医が退職する当事者の家族は「転任先で同じ先生に診てもらう予定だが不安でいっぱい」と訴えた。

 要請後は「みんなが思い思いの言葉で訴えることはできたが、病院を市直営に戻すことを本当に実現させないと」「次回は、秘書課の入口ではなく広い部屋で市長に会わせろ! と強く言おう」など今後につながる活発な意見交換ができた。

(平和と市民自治のまち大津をともにつくる会・峯本敦子)



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