2022年05月27日 1724号

【ZENKOユース参加団in沖縄に参加して】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)ユース参加団in沖縄(5/3〜5/5)で基地・戦跡を訪れ、若者たちは何を感じ考えたか。初めて参加した2人に感想を寄せてもらった。

忘れることなく闘う

 一番印象に残ったのは、基地の大きさだった。訪れた基地はどれも広大で、見渡す限り続いていた。建設される前は何があったのか。住民が強制的に移動させられ、どれだけの自然が破壊されて基地ができたのかを考えさせられた。

 辺野古の海をグラスボートに乗って見た時は、涙が出るかと思った。海に生息する数多くの美しい命が、戦争と儲けのために破壊されるのを決して許してはいけない。普天間基地を見た短い時間に、複数のジェット機やオスプレイが上空を飛んでいた。日常的に兵器が上空を飛ぶ生活を人々に押しつけてはいけない。

 しかし、そこには闘っている人もいた。陸上では座り込みで、水上ではカヌーを漕いで、毎日のように体を張って闘う人々がいる。話を聞いて心を動かされた。私たちも連帯して、日本政府・アメリカ政府に訴え続け、闘っていかなければならないと思った。

 戦争はどれほど人生をめちゃくちゃにするか。ひめゆり資料館では、殺された生徒一人一人の顔を見つめた。彼女たちはまだ子どもで、一人一人に家族がいて、友人がいて、趣味があって、夢があったのだと感じた。体の中が締め付けられるような気持ちになった。彼女たちを忘れてはいけない。戦争のない世界のために、闘わなければならない。

 そして、参加した仲間と交流することができた。みんなの職場の話や、活動のきっかけ、ツアーの現場で感じたことなどを夜遅くまで意見をかわした。他の人が現場で気づいたり感じたことを聞いて、初めて気づくことなどもあり、みんなで一緒に行けてよかった。

(大阪 ニック・ワトキンス)

至る所で不条理の構造

 糸数の「アブチラガマ」と呼ばれるガマ(=自然洞窟)では、軍医や負傷兵など、600名を超える人々が身を潜めていたとされる。手元のライトを消し、暗闇に包まれながら、当時を想像する。迫り来る砲爆撃、患者のうめき声、充満する悪臭。かつてこの場所で過ごしていた人たちの苦悩は計り知れない。

 辺野古の海は、世界でも有数の生物多様性を誇る。グラスボートに乗せてもらう。海面から出てしまうほどに大きなサンゴ礁、色鮮やかな魚たち。基地建設が水質や潮流の変化を引き起こし、美しい海洋生物たちを殺すことになるという。反対の民意は何度も示されてきたが、ことごとく握りつぶされているのが現実だ。

 沖縄は長年にわたり不条理に直面し、多くの苦しみを生み出してきたことを知った。一部の利益や立場を守るために、多くの苦しみを生み出す構造は、現代でも至る所で起こっている。

 「”沖縄問題”がなければイメージ通りのいい場所ですけどね」。沖縄に移り住み、現在も基地反対運動を続ける方に話を聞くと、遠い目をして語ってくれた。

 現地に行くことは、圧倒的な説得力を持つ。読者の方々もぜひ参加し、五感を総動員して知ってほしい。

(東京・根岸朝裕)

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