2022年07月08日 1730号

【「君が代」処分で再任用拒否 損害賠償裁判 梅原さん 最高裁で勝利確定 維新の教育支配に痛打】

 「君が代不起立」への戒告処分や思想良心の自由を侵害する「意向確認」の拒否などを理由に再任用を拒まれたのは違法として、大阪府立高校の元教諭・梅原聡さんが府に損害賠償を求めた訴訟(大阪高裁勝訴、2021年12月)で6月16日、最高裁は府側の上告を不受理と退け、梅原さんの勝利が確定した。不当な「君が代」処分は最高裁でも断罪され、維新の教育支配に痛打を与えた。

 判決は、この再任用拒否を「府教委の判断は、客観的合理性、社会的相当性を著しく欠く裁量権の逸脱、濫用(らんよう)にあたり、違法」とし315万円の損害賠償を命じた。「君が代」処分裁判で、教育委員会の裁量権を巡り違法としたことが確定した意義は画期的だ。闘いの中で、維新が狙った「君が代」処分による3回でクビ≠竝ト任用拒否は実態としてできなくなっている。

 梅原さんと「大阪ネット」は6月24日、吉村洋文府知事と教育長に「質問・要請書」を突きつけ、上告決定過程・理由の開示、再任用システム自体の改変、公式謝罪を強く求めた。

生徒との時間は返らない 吉村 お前が謝れ

 最高裁が府の上告を不受理。これで大阪高裁が出した勝利判決が確定しました!当たり前のことだけど、やっぱりうれしい! ここまで物心両面で応援してきていただいた皆さんに、このような報告ができて本当にホッとしています。

 5年前、再任用拒否の理由を聞いても「総合的判断」としか答えない役人の態度が一番いやでした。「君が代」斉唱をしないからだと言われた方が、腹は立ちますが相手の言いたいことはわかる。総合的判断で「ダメ」ということは大勢の再任用申請者の中で、ぼくが教員として最低ということかと憤ったものです。結局そこが裁判の最大のポイントになりました。再任用を「否」とする合理的な説明ができていないと。

 賠償金は受け取れることになりましたが、教員として生徒たちと過ごしたはずの時間は返ってきません。お金を払ったらおしまい、そんなことは許しません。府が違法行為を行ったわけだから吉村、代表してお前が謝れ! すべての発端となった国旗国歌条例・職員基本条例を無理やり押し通したのもお前たちだから、反省して条例撤廃を提案しろ! 今、そんな気分です。

(「君が代不起立」再任用拒否国家賠償裁判原告 大阪府立高校元教員・梅原聡)

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