2022年07月15日 1731号

【議会を変える/待機児ゼロの嘘ホント/東京都足立区議 土屋のりこ】

 「待機児ゼロを達成!保育園に入りやすいまちに」と勇ましい言葉が『あだち子育てガイドブック』に踊っている。

 2017年には374人だった待機児童が21年ゼロとなったことを指しているが、この区の言葉、本当に信用していいのだろうか。

 今年度は待機児童1人(現在は引っ越してゼロ)だが正確にいうと4月1日現在で、だ。足立区では年間4千人強の新生児が誕生している。当然、夏に生まれる子もいれば、秋・冬に誕生する子もいる。育休が取りやすくなったとはいえ、事情で産後8週で仕事に戻ることを希望する産婦もおり、年度途中から保育に頼らざるを得ない家庭もある。

 区の保育コンシェルジュ(保育園等の案内をおこなう窓口)に試しに話を聞きに行ってみた。「12月頃から保育園に入れるものか」の問いに、担当者は「秋冬は満杯で難しい。昨年度もその時期には空きがほぼない。4月の一斉入所まで待てばどうか、入りやすいだろう」とにっこり笑顔。年度途中の入所希望のことを話しているのだが…。

 7月1日、子ども・子育て支援調査特別委員会があり、委員としてこの点を追及した。待機児童数の報告事項には保育定員の調整(抑制)まで書かれている。年度途中の保育ニーズはあふれているにもかかわらず、公立保育所の定員を削減することで定員を調整(抑制)するという。

 「年度途中の保育需要は把握しているのか、数値を示してほしい」、区「把握できていないので把握していきたい」。「年度途中からの保育を希望したが入れず、自分で保育園を作った区民がいる。年度当初ゼロを達成しても途中の保育希望に添えていないなら対応すべきではないか」、区「課題と受け止め、今後対策検討していく」。「公立園の定員削減ではなく、各園が空きに余裕をもって中途入園希望者を受け入れられるよう、補助等支援策こそ検討すべきだ」、区「対策を検討する」。

 事業の課題を指摘し、改善のため政策提言を繰り返す中で、政策が一歩ずつ前進していく。現場の声をぶつけ、住みよい区政を実現させたい。

  
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