2022年07月15日 1731号

【「同性愛は矯正すべき」と主張/自民議連でヘイト文書配布】

 自民党の国会議員が多数参加する議員連盟の会合で、「同性愛は後天的な精神の障害、または依存症」など、性的マイノリティーに対する偏見に満ちた内容の文書が配布されていた。

 この団体は安倍晋三元首相が会長を務める「神道政治連盟国会議員懇談会」。自民党議員の大半が加盟しており、岸田内閣でも首相を筆頭に自民党籍の閣僚20人中17人が同会のメンバーである。問題の文書は、ある大学教授の講演をまとめた冊子で、次のような内容が綴られていた。

 「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」「同性愛の原因について、家庭環境、特に親子関係に問題がある」「LGBTの自殺率が高いのは、社会の差別が原因ではなく、LGBTの人自身の悩みが自殺につながる」等々。

 人権意識皆無のヘイトスピーチというほかない。同性愛が精神疾患ではないことは今日の医学の常識だが、この差別文書は同性愛の原因が「家庭環境」にあるとし、「回復治療」によって矯正可能だという論理を展開している。

 なぜ矯正すべきなのか。いわく「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」。神道政治連盟に結集する連中の本音がここにあらわれている。彼らにとって「性的少数者」は、自分たちが信奉する「伝統的家族観」に反する存在である。だから消し去ってしまいたいのだ。

 彼ら極右勢力は「個人の尊厳と両性の本質的平等」をうたった憲法24条を、憲法9条以上に忌み嫌っている。個人の尊厳を至高の価値とする日本国憲法を敵視し、その破壊をもくろむ連中に改憲のハンドルを与えてはならない。  (O)
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