2022年07月29日 1733号

【1733号主張/安倍「国葬」に反対する/軍拡 改憲でなく命とくらしへ】

民主主義に反する国葬

 人の死をどのように悼み弔うかは個人の内心の自由である。国家権力が国葬として市民に強要することは許されない。法的根拠もない。戦前の国葬令は1926年天皇の勅令で制定され、天皇・皇族と天皇制国家への偉功者を悼み称えることが目的だ。当然、日本国憲法のもとで廃止された。国葬は民主主義に反する。

 岸田政権は銃撃で死亡した安倍元首相の国葬を9月27日にも行おうとしている。多額の税金を使い、大掛かりな葬儀式典を行い、学校や公共機関に半旗や追悼を強要する。安倍が刑事告発されている「森友・加計、桜」疑惑にふたをし、銃撃事件があぶりだした統一教会と自民党の癒着、霊感商法など数千億円の被害が自民党の実働部隊である勝共連合に流れたことなどの究明を封じる狙いがある。国葬強行はストップだ。

アベ礼賛から改憲狙う

 政府内では当初、国葬の法的根拠がなく難しいとの見方があったが、岸田首相が強く求め押し切った。国葬によって、アベ政治を礼賛し遺志を継ぐ宣言を行い、党内最大派閥・安倍派と岩盤支持層・右翼勢力をも取り込み権力内での地盤を固めるのだ。さらに国葬に海外要人を集め、緊張激化の続く中、反ロシア、反中国の軍事同盟と経済圏の強化をはかり、グローバル資本の海外権益拡大を狙う。安倍銃撃事件を政治利用し、軍事費2倍化、早期の「憲法改正」発議へ地ならしを進めようとしている。

 しかし、岸田政権の思惑通りにはすすまない。選挙中の銃撃殺害に衝撃を受け繰り返してはならないとする市民の意思と、アベ政治礼賛には大きなギャップがある。「死者にむち打つな」の雰囲気が作り出されているが、民主主義を壊し貧困と生活苦を拡大した安倍に市民の賛辞は集まらない。国葬反対のネット署名がわずかのうちに5万に達するなど、国葬への疑問・反対が広がりはじめた。容疑者の行為は許されないが、動機となった統一教会の反社会性や自民党との癒着について、続々と事実が明らかになり政治焦点化する。国葬問題はアベ政治を断ち切るチャンスでもある。

平和 くらしを守れ

 国葬撤回を求め、署名、要請書、自治体意見書など地域から早急に世論を巻き起こそう。学校、公共機関での弔意強要をやめさせよう。メディアの世論誘導報道を監視し抗議しよう。

 市民が求めるのは、多額の税金を国葬に使うことではなく、物価高騰や新型コロナ第7波急拡大への対策だ。消費税減税、電気など公共料金値上げへの反対・引き下げ、医療態勢の抜本的拡充こそが必要だ。軍拡と改憲をとめ、平和外交を実践させ、軍事費削減、新基地建設反対をすすめよう。9月沖縄県知事選に勝利しよう。

 (7月20日)
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