2022年08月05日 1734号

【みるよむ(629)2022年7月23日配信 イラク平和テレビ局in Japan 不公平な賃金格差をなくせ イラク公務員労働者のデモ】

 2022年5月首都バグダッドで、全国から駆けつけた州公務員労働者たちが「我々は賃金問題を解決したい」「要求は賃金と手当の一本化だ」と横断幕を掲げ首相官邸にデモを行った。

 鉱工業省のある職員は「勤続34年で賃金総額が月80万ディナール(約7万4千円)なのに、電力省の同僚の賃金は450万ディナール(約32万円)だ」と訴える。同じ公務員でも4倍以上の賃金格差だ。「軍や警察、私兵らは、1年も勤務していなくても毎月200万ディナール(約18万円)の賃金を得ている。しかし、ほとんどの省庁の職員は69万ディナール(約6万4千円)。手当の配分が違うのだ」と憤る。

 バグダッドの職員代表の女性は、各州で高等調整委員会を組織して、賃金格差是正、賃上げを要求してきた闘いを報告した。2013年マリキ首相時代にはデモによって賃金の増額を勝ち取っている。

 参加者たちは「我々の声を聞け/声を聞け/賃金を調整しろ/我々の賃金は1週間分にもならない」と声を上げ、政府に要求を突きつける。

 スブヒ・アルバドリさん(2008年にイラク平和テレビ局in Japanが招請して来日)が労働者の置かれている状況を説明する。ディナールが切り下げになり輸入品の価格が上がり、物価が上昇している。IMF(国際通貨基金)が公務員の賃下げや社会サービスの切り下げを要求し、労働者の怒りを呼んでいる。

 アルバドリさんは「政府に圧力をかけるために、このデモが大きく大規模になることを期待している」と強調する。職員代表の女性も「調整委員会のメンバーは、申請書を提出するために政府の閣僚会議に向かいました。良い知らせを聞けるように期待しています」と話す。労働者の闘いが確実に政府に圧力をかけている状況が伝わってくる。

 日本からもこのイラク労働者の闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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