2022年08月05日 1734号

【旧統一教会の広告塔をなぜ「国葬」/祖父・岸は教祖の釈放を嘆願】

 「あるテレビ局の人に、『有田さん、政治と統一教会の問題を語ってもらいたいんだけれども、“政治の力”は言わないでくれ』って言われた」。これはジャーナリストの有田芳生が披露した裏話である。「特定の政治家の名前は言わないでくれ」と複数の局から釘を刺されたそうだ。

 政府が安倍晋三元首相の「国葬」を決めたことで、こうした動きが強まることが予想される。だが、自民党特に安倍一派が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と深い関係にあるのは紛れもない事実である。

 たとえば、安倍の祖父にたる岸信介(元首相)は、統一教会の政治団体「国際勝共連合」の立ち上げに協力した人物だ。教祖・文鮮明(ムンソンミョン)が脱税の実刑判決を受けて米国の刑務所に収監されていた時には、当時のレーガン米大統領に釈放嘆願書を送っていた。

 嘆願書の文面にはこうある。「文尊師は、誠実な男であり、自由の理念の促進と共産主義の誤りを正すことに生涯をかけて取り組んでいると私は理解しております」。霊感商法などの犯罪行為をくり広げてきたカルト教団首領のどこが「誠実な男」なのか。

 こうした祖父の「遺産」を安倍晋三は受け継いだ。ジャーナリストの鈴木エイトがまとめた旧統一教会と関係のある現職国会議員リストをみると、自民党議員が9割近く(98人)を占めているが、派閥別では安倍派35人が最も多い。安倍本人も旧統一教会のダミー団体の集会にビデオメッセージを寄せ、文鮮明の妻である現総裁に「敬意を表します」と述べていた。

 宗教の体裁をとった反社会的団体と癒着し、その広告塔となってきた安倍を国葬にするなんて、今も苦しむ教団の被害者を愚弄する行為である。 (O)
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