2022年08月12・19日 1735号

【議会を変える、市民と変える/「10階建てビル あれが農地?」 市民とともに住民監査請求/京都府向日市議/杉谷伸夫】

 今、向日市ではJR向日町駅を橋上駅にして東西をつなぎ、東口に128bのタワーマンションを建設し、東側に広がる農地を開発して、日本電産(株)が進出する計画が進んでいます。すでに日本電産ビル1棟の建設が終わりました。市長はこの開発による税収増を期待していますが、市民にはタワーマンションの問題や貴重な農地が無くなっていくことの危惧があります。

 昨年ある市民が別の目的で固定資産課税を調べていると、この開発中の土地が、農地として課税されている疑いを持ちました。固定資産税は、推定5千万円程度が、農地だと十数万円になります。

 昨年9月の決算議会で、私はこのことを問いただしたのに対して、向日市の担当部は「地方税法上の守秘義務」を理由に一切答弁しません。しかしその後、この問題を見つけた市民の独自調査により、疑いは確信になりました。一方、行政に対して議会の内外でこの問題を問いただしてきましたが、説明を拒否したままです。そのため、その市民と私の2人で、6月下旬に住民監査請求を行いました。

 住民監査請求とは、自治体の財務会計上の行為について違法又は不当な行為又は必要な行為を怠る事実があると判断した場合に、監査委員に対して、行為の防止や是正その他の必要な措置を講じるよう請求することです。住民全体の利益を守るために、直接利害がなくても請求できます。すでに農地転換して整地され、ビルの建設が進んでいるにもかかわらず、農地として課税しているのは違法であると、その是正を求めました。

 皆さんは2つの疑問があるでしょう。まず、なぜこのように向日市が損害を被ることをしたのか? これが問題の核心です。監査請求を通じて明らかになったことをもとに、更なる追及が必要です。

 もう1つは「地方税上の守秘義務」を盾にされると、違法な課税のチェックが不可能ではないかということ。明石市長が、地元の川崎重工業の法人市民税の法人税割が0円であることをTwitterに投稿して問題にされましたが、こうした内部暴露がなければ、大企業が恩恵を受けている具体的実態はわかりません。

 監査結果は2か月以内に出され、結果を見て住民訴訟を行う予定です。「10階建てビルが建ってるのに、あれが農地?」というのが市民の声です。今後広く市民に呼びかけて催しを計画しています。
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